CalyptoがMentorの高位合成ツール「Catapult C Synthesis」を買収
2011年8月26日、シーケンシャル・アナリシス技術でEDA製品を展開する米Calypto Design Systems社は、Mentor Graphics社より高位合成ツール「Catapult C Synthesis」を買収した事を発表した。
Calyptoは買収条件等の詳細は明らかにしていないが、今回の買収により、今後「Catapult C Synthesis」の新規顧客への営業およびサポートはCaryptoが遂行。既存の「Catapult C Synthesis」の顧客は、引き続きMentor側でサポートが継続されるとの事。また、Calyptoは、同社の提供している高位合成前後の機能等価性検証ツール「SLEC System-HLS」による、CadenceおよびForteの高位合成ツールとの統合環境を引き続き開発、サポートしていくという。
Calyptoはこれまで独自に開発したシーケンシャル・アナリシス技術をベースに、RTL対RTLの等価性検証、高位合成前後の等価性検証、そして消費電力最適化と複数のEDA製品を展開してきているが、買収によって外部から技術および製品を取り込むのは今回が初。獲得した「Catapult C Synthesis」に関しては、「SLEC System-HLS」において早くからサポートしており、それによってMentorとのパートナーシップが確立されていたが、高位合成ツールのトップシェアを誇る「Catapult C Synthesis」をCalyptoが獲得するとは、誰も想像しなかったのではないだろうか?
また、Mentorはバーチャル・プロトタイピング環境「Vista」をはじめとするESLソリューションを引き続き提供していくとしているが、これまで同社のESLソリューションを支えてきた「Catapult C Synthesis」を何故手放したのか?非常に興味深い。
いずれにせよCalyptoは、今回の「Catapult C Synthesis」の買収により高位合成ツールを有するEDAベンダとなった訳で、今後ESL市場においてCadence,Forte,Synopsysらと対峙していく事になる。最も売れている高位合成ツール「Catapult C Synthesis」がシーケンシャル・アナリシス技術を生み出したCalyptoの手によってどう進化していくのか? 消費電力最適化ソリューションとの融合など、既存ユーザーに限らずその期待は大きなものになるだろう。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2011.08.29
)