メンターの動作合成ツール「Catapult C Synthesis」がバージョンアップで大きく進化

2009年7月2日、メンター・グラフィックスは、同社の動作合成ツール「Catapult C Synthesis」のバージョンアップを発表した。

プレスリリース文

発表によると、「Catapult C Synthesis」は今回のバージョンアップでコントロール・ロジックの合成と低消費電力化を意図した合成を実現。設計者はC++コンストラクトを用いてデータパス・ロジックとコントロール・ロジックを単一のモデルで記述し両ロジックをインタフェースさせた回路を一括で合成できるようになり、合わせて回路の消費電力を追求する事が可能となる。

新たに追加された低消費電力化の機能は、マルチレベルでのクロック・ゲーティングと、動的な電力およびクロック管理ユニットへのインタフェースを自動化することで実現されており、ツールがゲーティング可能なクロックを解析し、フロップレベルでの処理に対して100%に近いクロック・ゲーティングを実現。更に全てのシステム・ブロックのステートについてのリアルタイム情報を動的な電力およびクロック管理ユニットにエクスポートし、システム全体の更なる消費電力削減を実現する。メンターによると、これら低消費電力化機能により、最高で90%、平均して40%の消費電力削減効果を確認しているという。(ユーザー設計データ300件以上を用いたベンチマーク結果)

Catapult_20090707.jpgまた、メンターは「Catapult C Synthesis」による合成結果の検証・デバッグ環境として、C++対RTLの検証を自動化し詳細なRTLブロックの連携をCレベルで検証することができる検証環境を新たに提供。同環境は特許出願中の技術が用いられており、これまで動作合成ツールのウイークポイントの一つであった合成結果の検証を容易なものにするという。

市販の動作合成ツールの中には、一般的に動作合成ツールが不得手とするコントロール・ロジックの合成を特徴とするものや、消費電力の削減効果をうたうものが存在しているが、今回のバージョンアップにより「Catapult C Synthesis」はそれら他社製品のアピールポイントを一気にカバー。「Catapult C Synthesis」は、動作合成ツールとしては後発組でありながら既にシェア50%以上を獲得していると言われており(2007年GarySmithレポートによる)、今回の機能強化は更なるシェア拡大の可能性を秘めている。

メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社

 

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2009.07.06 )