礎DA、アルゴリズムの浮動小数点を自動的に固定小数点化するツール「FP-Fixer」をリリース

2006年10月13日、ESL分野のEDAツール開発や設計・コンサルティングサービスを手掛ける、株式会社礎デザインオートメーションは、自社製品「FP-Fixer」のリリースを発表。先行評価ユーザ向けた特別セミナーを開催した。

「FP-Fixer」は、今年のEDSフェアで発表された同社自社開発のツールで、浮動小数点から固定小数点へのCコードの変換作業(=アルゴリズムのハードウェア化に伴う、ビット精度の確定作業)を自動化するもの。用途としては、以前、シノプシスが提供していた「Fixed-Point Designer」と似ているが、「FP-Fixer」はSystemCの固定小数点データタイプを利用せず完全にC言語で閉じられた環境として構築されており、そもそもの開発コンセプトが大きく違う。

礎DAによると、C言語をベースとする利点は大きく2つ。一つは、ツール利用者に対する敷居が低いという点で、ANSI-Cであれば新たに言語を学ぶ事無く導入したその日からツールを利用することが可能。もう一つは固定小数点への変換処理を大幅に高速化できるという点で、極端に検証速度が遅くなるsc_fixedと違い、独自のC言語ベースシミュレーション・ライブラリによって高速にシミュレーションを実行することができるという。

ツールの利用フローとしては、まず対象となるCコードを入力するとコードのルールチェックを行い、関数展開など後のシミュレーション工程に向けてソースコードを最適化する。次にテストデータから各変数のプロファイリングを行い、仮のビット幅を確定。最後にシミュレーションを繰り返し許容誤算範囲ぎりぎりまでビット幅を削減し、固定小数点化されたCコードとして出力する。

「FP-Fixer」は、float/doubleはもちろんint/longも読みに行き、自動的に最適な精度の固定小数点に変換。ユーザが特定のビット幅を指定したい場合はディレクティブで指定でき、評価関数を用いる事で単純な期待値照合だけでなく複雑な評価も行う事ができる。また、複数マシンを用いて処理を行う際に、それぞれの結果をマージして最適解を見つけるためのファイルマージ機能も備えられている。

礎DAによると、将来的には変換結果をDSP向けCコードやSystemCコードとして出力する事を検討中で、ユーザの要望に応じて対応していく予定だという。また、動的なシミュレーションではなく、静的解析によって精度を追求する「FP-Fixer」の次期製品の開発も既に計画中で、今後は消費電力解析なども視野に入れた「Fixer」シリーズのEDA製品を順次開発していく予定だという。

尚、礎DAでは一般ユーザ向けの「FP-Fixer」セミナーを下記スケジュールで開催する予定。10月25日より参加申し込みの受付を開始する。

■「FP-Fixer」セミナー
 開催:11月10日(金) 13:30?16:00
 会場:川崎市産業振興会館 第3会議室
 参加:無料

※「FP-Fixer」に関する詳細は、株式会社礎デザインオートメーションにお問い合わせ下さい。
http://www.ishizue-da.co.jp/

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2006.10.17 )