2008年ケイデンスの戦略、狙いはアナログ/ミックスドシグナルとシステムレベル設計>>CEOマイク・フィスター氏の会見レポート

2008年4月16日、ケイデンスの社長兼CEOのマイク・フィスター氏は、都内のホテルで恒例となっている日本のプレス向けの会見を実施。業界トップである同社の2008年の戦略を明らかにした。

マイク・フィスター氏によると、2007年の売上実績はEDA業界の市場成長率と同等の前年比9%増を達成。ここまで堅調に売上を伸ばしてきていたが、やはり同社も世界的な経済不況の影響を無視できず、2008年度の売上目標は前年比5?10%減の15億ドル前後と昨年実績を下回る数字となっている。

ケイデンスは昨年、より「Holistic(=包括的)なソリューション」の必要性を強調し、LowPower、DFMなど主要な課題に向け包括的なソリューションを展開。それがユーザーの支持を集め、売上増に繋がってきている。そのため、今年の展開についても大きな戦略の変更は無く、継続して「Holisticなソリューション」によって顧客の問題解決に努めるスタンスをとるが、より対応を強化するとして強調したのが「アナログ/RF/ミックスドシグナル設計」と「システムレベル設計」の2つの分野。

「アナログ/RF/ミックスドシグナル設計」分野については、高まる市場のニーズに応え、「Virtuoso」を中心としたHolisticなソリューションを展開し、「Virtuoso」とデジタル環境「Encounter」の連携も強化していくとの事。「システムレベル設計」分野についての詳細は明らかにされなかったが、コードネーム「Sydney Technology」というシステムレベル設計技術の革新プロジェクトが進められており、「SystemCからの合成ツール」のリリースをはじめとした、幾つかの展開が計画されているという。

その他、LowPowerソリューションの成功ついても強調され、話によるとケイデンスの支持するSi2のPowerフォーマット「CPF」を用いたLowPower設計のテープアウト実績は、この1年間W/Wですでに25件。Web上で配布されている「LowPower設計メソドロジガイド」は、公開1ヶ月でダウンロード数1000件を突破したとの事。(日本:約250件)

尚、ケイデンスはメンター・グラフィックスと共同で4月18日に検証メソドロジ「OVM」のセミナーを開催。同セミナーには100人近い設計者が集まり、「OVM」を用いた検証手法の詳細が紹介された。OVMは検証環境を問わない再利用性の高さが特徴。開設されているOVMの公式サイトでは、既に3000人以上のエンジニアがオンライン・フォーラムに参加しているという。

※日本ケイデンス・デザイン・システムズ社
http://www.cadence.co.jp

※OVM公式ホームページ
http://www.ovmworld.org

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2008.04.18 )