CadenceとNVIDIAがダイナミックパワー解析を高速化、数時間で数十億サイクルをカバー
2025年8月20日、Cadenceは新しい「Palladium Dynamic Power Analysis APP」について発表した。
「Palladium Dynamic Power Analysis APP」は、Cadenceのハードウェア・エミュレータ「Palladium Z3」で利用するダイナミック・パワー解析アプリで、これまで不可能とされていた数十億ゲート規模のダイナミック・パワー解析を実現。数時間で数十億サイクルをカバーし、その実行精度は最大97%に達するという。これまでの電力解析ツールでは数百万サイクルを超えるスケールアップが難しく、大規模チップ電力消費を短時間で正確に予測することが難しかった。
発表によると「Palladium Dynamic Power Analysis APP」は、NVIDIAとの協業によって実現されたソリューションでNVIDIAがダイナミック・パワー解析の高速化に一役買っている。その詳細は明らかにされていないが、「Palladium Z3」にはNVIDIAのデータ処理専用プロセッサ「BlueField DPU」とネットワーク・システム「Quantum InfiniBand」が搭載されており、それらがI/O処理やメモリアクセスなどEDAワークロードのボトルネックを解消し、分散処理の効率化に利用されていると想像できる。
CadenceはNVIDIAとの協力関係を強めており、今年5月にはNVIDIAの「Blackwell」などを搭載したスーパーコンピュータ「Millennium M2000」を発表している。「Blackwell」はCadenceに限らずSiemens、SynopsysなどもEDAソリューションに取り込んでおり、今後はAI技術と合わせて新しいチップを活用したEDAソリューションが続々と登場してきそうだ。
※関連ニュース:Cadenceがチップ設計、システム開発、創薬に向けたNVIDIAベースのAIスパコン「Millennium M2000」を発表
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2025.08.22
NEW
)