CadenceがAI配置機能を利用可能な新型PCB設計ツール「OrCAD® X Platform」を発表
2023年9月13日、CadenceはPCB設計ツールの新製品「Cadence® OrCAD® X Platform」を発表した。
発表によると新製品「OrCAD® X Platform」の特徴は大きく2つ。
まずAIを用いた自動配置が可能となった。これは部品をクラスタ化し与えられた制約の範囲内で最適な配置を自動的に行うもので、同じくCadenceの提供する高機能PCB設計ツール「Allegro X AI」の機能を利用するもの。「Allegro X AI」は今年4月にリリースされた製品で、小規模または中規模程度のプリント基板であればAI技術を用いて配置配線を自動化できる。この「Allegro X AI」のライセンスを持つユーザーであれば、より安価な「OrCAD® X Platform」を導入すればAI自動配置が可能となる形だ(自動配線については不明)。Cadenceの「Allegro」と「OrCAD」はデータ互換性があるため、用途に応じて両製品を使い分けるユーザーも多い。
なおCadenceの説明によると「Allegro X AI」のAI自動配置機能を用いることで、数日かかっていた配置作業を数分で終えることが可能。先ごろ開催された「CadenceLIVE Japan 2023」で聞いた話では、「Allegro X AI」は将来的には大規模プリント基板設計のAI自動化にも対応する予定で、2024年にはフル自動配線機能も実現する計画とのこと(現在のところ重要なネット配線のみ自動化できる)。これらのAIベースの自動化技術は、デジタル回路のデザインで培ってきた同社のノウハウをPCB設計向けに移植しているものだという。
もう一つの大きな特徴はクラウド環境への対応で、「OrCAD® X Platform」は「Allegro X AI」と同じようにクラウド環境で利用することが可能となった。具体的にはCadenceの提供するクラウドベースの開発ソリューション「Cadence OnCloud Platform」を構成するツールの一つとして「OrCAD® X Platform」が加わり、データ管理やデータ・ストレージ、チーム設計などクラウド環境の利点を活かしたツール運用が可能となった。「Cadence OnCloud Platform」には、「Allegro」、「OrCAD」以外にもマルチフィジックス解析ツール、CFDシミュレーションツール、マイクロ波設計ツールなど、Cadenceのシステム設計およびシミュレーション・ツールが用意されている。
コストパフォーマンスの高いPCB設計ツールとして提供されているCadenceの「OrCAD」シリーズ製品は、日本国内ではイノテックが代理店として販売している。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2023.09.13
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