Cadenceがデバッグ効率10倍を実現するAIベースの次世代検証プラットフォーム「Verisium」を発表

2022年9月14日、Cadenceは検証/デバッグ向けの新製品「Verisium」プラットフォームを発表した。
今回発表された「Verisium」プラットフォームは、AI技術の取り込みを積極的に進めているCacenceとして新たな一歩を踏み出す新世代のAIベース・ツールで、同日発表されたAIベース・チップ設計向けのデータベース「JedAI(ジェドエーアイ)」プラットフォームを活用する最初の論理検証関連新製品となる。
※JedAI Platform:Joint Enterprise Data and AI Platform
データベース「JedAI」は、SoC設計・検証フロー全体で利用する複数ツール・複数エンジンのデータを一元的に統合するもので、同データベースとAI技術を用いることにより最適なPPA、最高のカバレッジ、最短の製品投入を実現できることが可能。これまで行われていたツール単体での逐次実行を主体とした設計から、複数ツール・複数エンジンを複数実行しながらあらゆる設計データをもとに最適化を行う、「よりインテリジェントな設計」へと設計手法そのものを進化させることができるとCacdenceは説明する。
Cadenceによると新製品「Verisium」プラットフォームの役割は大きく2つある。一つは検証全体のマネジメントでこれまで「vManager」が担っていた検証作業の管理およびコックピットの機能を「Verisium Manager」が引き継ぐ。Cadenceの提供する全ての検証ツールは「Verisium Manager」を通じて実行/マネジメント可能だ。
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もう一つの「Verisium」プラットフォームの役割はAIベースのデバッグで、これが既存の「vManager」には無かったデータベース「JedAI」を活用した目玉機能となる。
「Verisium」プラットフォームの中には下記4つのデバッグ用アプリが用意されており、それらアプリはユーザーのデザインと検証結果、そして「JedAI」に蓄積されたデータからマシン・ラーニングを用いてフェイルを推定することが可能。ユーザーは自動または半自動でバグの根本原因を容易に特定できるようになる。
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<Verisiumのデバッグ用アプリ>
Verisium AutoTriage: 
フェイルしたテストを俯瞰して共通根本原因を推定しテストをグループ化する
Verisium SemanticDiff: 
IPやSoCの複数コード間(バージョン間)の機能的な差分を比較し、バグを入れ込むリスクのある変更点の分類とランク付けを行う
Verisium WaveMiner: 
複数テスト結果の波形からフェイルとなる根本原因に関係する可能性が高い信号とそのタイミングパターンの推定を行う
Verisium PinDown: 
ソースコードの変更、テストレポート、ログファイルの情報から、バグを入れ込んだ可能性が高いソースコード更新を推定する
※Verisium PinDownは、Github, Redmine, Perforceなど業界標準のレビジョン・コントロール・システムと統合可能
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なおユーザーが検証ツールに流した結果は順次データベース「JedAI」に蓄積され活用されていくため、「Verisium」はユーザーがデザインを走らせば走らすほど賢くバグの原因を特定できるようになるとのこと。Cadenceは「Verisium」プラットフォームを使うことでデバッグ作業の工数を10分の1程度に低減できるとしている。
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※画像は全てCadence提供のデータ
今回発表された「Verisium」プラットフォームはデバッグをターゲットとした「JedAI」活用検証ツールの第一弾となるが、Cadenceは今後も順次AIベースの検証ツールをリリースしていく計画だと言う。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2022.09.20 )