Cadenceが新たなフィジカル最適化エンジンを投入しインプリフローを刷新、PPAを最大20%改善

2020年3月18日、Cadenceはデジタル設計フローの新バージョンのリリースを発表した。
今回発表された新しいCadenceのデジタル設計フローは、PPAを最大20%向上、設計スループットを最大3倍高速化という大胆なもので大幅な機能強化が図られている。その中心となるのが「iSpatial」テクノロジと呼ばれる新たなフィジカル最適化エンジンで、同機能によりフィジカル合成「Genus」と 配置配線「Innovus」の緊密な統合が実現し、よりシームレスな形でインプリメント工程を処理できるようになる。
Cadenceの説明によると「iSpatial」は、フィジカル合成「Genus」のマッピング機能と 配置配線「Innovus」の配置エンジンおよび最適化機能を統合したもので、最適な配線レイヤー割り当て、クロックスキュー、ビアピラーなどのテクノロジをサポート。そして同最適化エンジンの目玉と言えるマシンラーニング機能が搭載されている。
「iSpatial」のマシンラーニング機能は最適化機能を高めるためのもので、既存のデザインを元にトレーニングを行う事によって設計マージンの最小化を実現する。発表に寄せられたユーザーのコメントによると、マシンラーニング機能の活用によって最大動作周波数の向上、マイナスのスラック値の低減、リーク電流の低減といった成果が得られているということだ。
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※画像はCadenceの発表データ
Cadenceの新しいデジタル設計フローは、「iSpatial」テクノロジを用いてより早く賢くデザインの最適化を行うことでPPA品質を向上すると同時にインプリ工程におけるイタレーションを削減。緊密なツール連携も加わり、TAT短縮に対する効果も大きいようだ。

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2020.03.19 )