MIPS Open Initiativeが1年経たずに突然終了
2019年11月14日、Wave Computingは、MIPS Open Initiativeの即時閉鎖を発表した。公なアナウンスではなく、MIPS Open Initiativeに登録しているユーザーへメールで案内を行った。
MIPS Open Initiative閉鎖の理由は明らかにされていないが、MIPSコアなどMIPS Open Componentsの無料ダウンロードは既に中止されており、Wave Computingは今後これらを用いた開発は制限することを推奨しているとのこと。既にダウンロードされたMIPS Open Componentsと現在アクティブなライセンスは引き続き利用を認定されるという。
MIPS Open Initiativeは、MIPS命令セット・アーキテクチャのオープンソース化を目的に立ち上げられた活動で、昨年12月にその計画が発表され、今年3月からMIPS Open Componentsの無償公開が開始されていた。
MIPS Open Initiativeが立ち上がった背景には、ご存知の通りオープンソースのISA「RISC-V」の隆興/流行があるが、実際に行われたMIPSのオープン化は真にオープンなRISC-Vなどとは異なり、"オープンユース"と呼ぶライセンスの下でISAが提供される形であり、商用利用するには開発者として登録し「MIPS Open CERTIFIED Independent Core」として認定される必要があった。
また、MIPS Openパーツの開発者に対して、MIPSの特許を妨害するサードパーティーの支援を行わないという、永久かつ取り消し不能な同意を必要とするなど、オープンソースとしながらもユーザーに疑問を持たれる部分があった。活動閉鎖の理由は不明だが、少なくともRISC-Vのように多くのユーザーに支持され受け入れられる活動にはならなかったという事だ。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2019.11.18
)