Synopsysが大幅に性能アップした組み込みプロセッサIPの新製品「ARC EV7x Vision Processor」を発表
2019年9月16日、Synopsysは組み込みプロセッサIPの新製品「DesignWare ARC EV7x Vision Processor」を発表した。
新製品「ARC EV7x Vision Processor」は、DNNエンジンを搭載したエッジAIアプリケーション向けの組み込みプロセッサIPで、約2年前にリリースされた既存製品「EX6x」のパフォーマンスを刷新したもの。32ビットのスカラユニットと512ビットのベクターDSPを組み合わせたVPUコアを最大4個利用できるビジョン・エンジン部とオプションのDNNエンジン部からなるヘテロジニアスなアーキテクチャーは、基本的に「EX6x」と同じだがDNNエンジンとして搭載できるMAC数が最大14,040個と4倍に拡張された。ユーザーは用途に応じてビジョン・プロセッサのコア数(1-4個)とDNNエンジンのMAC数(880-14,040)を選ぶことができる。
Synopsysの説明によると「EV7x」はDNNエンジンのMAC数が増えただけではなく、MACの使用率やバンド幅の改善などによりエンジンの処理性能が向上されており、最大構成で業界最高水準の35TOPSの演算性能を実現(16nm FinFETプロセスで標準実装した場合)。パワーゲーティングによるローパワー化も施されており電力効率も向上しているという。
また、「EV7x」のDNNエンジンは、MobileNet、GoogLeNet、ResNet、Yolo、Faster R-DNN、ICNetなどの一般的なCNNのサポートに加えて、時間ベースの結果を必要とするLSTMをサポート。データ精度は8ビットおよび12ビットをサポートする。Synopsysは、ビジョン・エンジンとDNNエンジンで各種タスクを並列処理できる「EV7x」は、複数のカメラやビジョン・アルゴリズムが並列動作する自動運転システムやADASアプリケーションに最適だとしている。
「EV7x」には、オンチップ・メモリーからのデータ転送を保護するためのオプションとして「AES-XTS暗号エンジン」も用意されている。更に、機能安全規格ISO 26262 ASIL B/Dに準拠した製品「EV7xFS」も用意されている。開発環境としては「MetaWare EV Development Toolkit」を利用することでDNNの容易なマッピングが可能。処理タスクを利用可能なハードウェアリソースに自動的にディスパッチして、実行を高速化できる。
発表された「EV7x」のフル機能は主要顧客向けに2020年Q1より提供開始予定。3,520 MAC対応のDNNアクセラレータ・オプションは既に提供を開始している。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2019.09.19
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