Neuromorphic Chipを手掛けるBrainChipがASIC組み込み用のAIコアを発表
2019年5月29日、脳を模倣するニューロモーフィック・チップを手掛けるBrainChipは、AIコア「Akida」のIP販売を発表した。
発表によると「Akida」はASIC組み込み用のニューラル・プロセッシング・コアで、BrainChip独自のニューロモーフィック回路上で脳の動きを模倣するスパイキング・ニューラル・ネットワーク(SNN)を実行することが可能。推論および教師なし学習に対応する。スペックの詳細は明らかにされていないが、性能、面積、消費電力、コンフィギュラビリティの全てにおいて、既存ソリューションを上回るとされている。
ニューラル・プロセッシング・コア「Akida」は、IPとしてライセンス提供されるほか、チップ単体としても提供可能。チップはエッジ・アプリケーションをターゲットとしたスタンドアロンのニューラルネットワーク・プロセッサとして機能する。また、BrainChipが既に提供しているCyber securityアプリケーション用の「Akida」搭載USBドングル、開発用のリファレンスボードも用意されている。リファレンスボードは、USB3.0ポートを介してホストコンピュータや開発環境「Akida Development Environment(ADE)」と接続して使用することもできる。
ユーザーのニューラルネットワークは、ADEを用いてSNNに置き換えられ「Akida」のニューラルファブリック内で実行される。事前に訓練されたネットワークを実行することも、自律学習させることも可能。乗算・加算のみを高速処理するアクセラレータとは異なり、ニューラルネットワーク全体が実行される。SNNはCNNよりも低消費電力で「Akida」によるSNNは電力性能が非常に高いとされている。
今回発表されたニューラル・プロセッシング・コア「Akida」が既に同社がリリースしている「Akida NSoC」のコアと同等だとすると、「Akida」 は120万個のニューロンと100億個のシナプスを持ち、IntelおよびIBMのニューロモーフィック・チップよりも100倍優れた電力効率を発揮する。(Intel:Loihi, IBM:TrueNorth, いずれもテストチップ)
BrainChipは既にオーストラリアで上場しており、スパイキング・ニューラル・ネットワーク技術を用いたビジネスを展開しており、警察や空港、カジノなどにソリューションを提供している。
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2019.05.30
)