Synopsysが業界初のUSB 3.1対応のコントローラIP、検証IP、仮想環境をリリース
2014年10月29日、Synopsysは業界初となるUSB 3.1対応のIPソリューションを発表した。
発表によると今回Synopsysが開発したのは、USB 3.1デバイス・コントローラIP、検証IP、USB 3.1の仮想プラットフォーム・キット(VDK)の3つ。今年7月に策定されたUSB 3.1仕様に対応するIPソリューションは業界初となる。
SynopsysによるとUSB 3.1対応機器は、ハブやドッキング・ステーションなどホスト側デバイス、SSDなどが2015年から登場する見通しで、今回はまずデバイス・コントローラの設計IPとSystemVerilogベースの検証IPを用意した。USBのIPに関してはSynopsysが市場シェアの半分以上を握っており実績も多数。USB 3.0のコントローラIPを使ったSoCの出荷数は1億個以上、検証IPは100以上のSoC開発で利用された実績がある。
今回発表したUSB 3.1 デバイス・コントローラIPの構造は以下の図の通りで、実績のある既存のUSB 3.0のIPをベースに作られている。一つのIPでUSB 3.1/3.0.2.0に対応可能で当然ながらUSB 3.1の10Gbpsのデータ転送速度に対応する事が可能。既存のSynopsysのUSB 3.0 IPのユーザーはUSB 3.0のドライバをそのまま利用できる。
また今回はデバイス・コントローラIP、検証IPに加えてUSB 3.1のバーチャル・モデルも用意。Synopsysはこのバーチャル・モデルを「ARM Cortex-A57 Versatile Express Board」のバーチャル・プラットフォームと合わせてパッケージした「USB 3.1 IP VDK」として提供する予定。同VDKはSynopsysのバーチャル・プロトタイピング環境「Virtualizer」で動くソフトウェア開発向けの環境で、Linaro Linuxで実行可能。USB 3.1のサンプル・ドライバも付属される。
Synopsysは既に開発したUSB 3.1 デバイス・コントローラIPを自社のFPGAプロトタイピング環境「HAPS」に実装しデモを披露した事もあり、同IPを利用するユーザーは同じようにHAPS環境を用いて開発を進める事ができる。ちなみにSynopsysでは全てのIPのバリデーションをHAPSで実施しているという。
発表されたUSB 3.1 デバイス・コントローラIPと検証IPは既に出荷中で、VDKの提供は2015年Q1から。USB 3.1 PHY IPは現在開発中で来年以降に提供される計画である。
※画像は全てSynopsys提供のデータ
= EDA EXPRESS 菰田 浩 =
(2014.10.29
)