NVIDIAが300億ドル規模のカスタムAIチップ市場に参入?
2024年2月10日、ロイター通信の記事:
ロイター通信によると、NVIDIAはクラウドコンピューティング企業など向けに、先進的なAIプロセッサーなど「カスタムAIチップ」の設計を行う新事業部門を構築している。
その背景には、NVIDIAのH100/A100から違うチップへの代替を求めている主要顧客の動きがある。
主要顧客とは、Amazon、Microsoft、OpenAI、Google、MetaなどでOpenAI以外は独自のAIチップを開発している。(OpenAIも独自AIチップ製造に向けて投資を集めていると言われている)
そのモチベーションは消費電力とチップ導入コストの削減で、H100は16,000ドルから100,000ドルという高額で販売されていると言われており顧客にとって大きな負担になっている。(Metaは今年90億ドルを投じてH100の総保有数を35万台に増やす計画だと言われている。)
Electronics Weeklyの記事によると、昨年Googleは100万個の独自AIチップの製造に20億?30億ドル、Amazonは10万個のAIプロセッサに2億ドルを費やしているとのことで、これは独自にAIチップを開発すればそのコストはIチップ1個あたり2,000ドル〜3,000ドルで済むことを意味している。
BroadcomがGoogleのTPU開発を請け負っていることは有名だが、BroadcomやMarvellが手掛けてきたデータセンター向けのカスタムチップの開発ビジネスに参入しようというのが今回のNVIDIAの新事業部門設立の話。すでにNVIDIAはこの新ビジネスについてAmazon、Microsoft、Google、Meta、OpenAiと会議の場を設けたということ。なおNVIDIAはデータセンターに限らず、通信、自動車、ゲーム機などの分野に対してもそのカスタムチップ・ビジネスを進めているという。
ロイターが引用した試算によると、データセンター向けのカスタムチップ市場は今年最大100億ドルに成長し2025年には200億ドルに到達。すでに2023年時点で全カスタムチップ市場は約300億ドルで全半導体市場の約5%に相当するということ。NVIDIAは同市場に参入することでAIチップの顧客との取引を継続し、顧客の開発する独自チップと正面から敵対しないビジネスの構築を目指している。