CadenceがCFDシミュレーションを高速化するGPUベースの新ソリューション「Millennium M1」を発表
2024年2月1日、Cadenceはマルチフィジックス・シミュレーション向けの新製品「Millennium™ Enterprise Multiphysics Platform(以下、Millennium M1)」を発表した。
新製品「Millennium M1」はGPUというHWリソースを活用してCFDシミュレーションを高速化するためのソリューションで、グラウドでもオンプレミスでも利用可能。同社がこれまで買収してきた
NUMECA 、
Pointwise、Cascade TechnologiesといったCFD関連企業の技術とCadenceのAI技術、エミュレーターなどHWベース・ソリューションの技術を組み合わせて構築されている。
Cadenceによると「Millennium M1」は、GPU常駐型CFDソルバと専用GPUの組み合わせにより、GPU1基あたり最大1000CPUコアのスーパーコンピューター相当のスループットを実現。CFDシミュレーションのTATを数週間から数時間に短縮し、CPUと同等の性能と比較して20倍のエネルギー効率を実現すると同時にその精度、スピード、スケールによって設計効率を最大100倍加速できるとしている。搭載されるCFDソルバはNUMECAとPointwiseの技術を用いて2022年に製品リリースした「Fidelity™ CFD Solver」をベースとしており、CascadeのLarge Eddy Simulation (LES)技術も用いられているようだ。
「Millennium M1」は、複数のGPUノードでほぼ直線的なスケーラビリティを実現するということだが、クラウドでは8GPU、オンプレミスでは32GPUから利用可能となっている。
なおCadenceは
1/31にも熱解析ツールの新製品「Celsius studio」を発表しており、システム設計領域のソリューション強化を更に加速している。既にEDA製品の売上の半分以上は大手IT企業や自動車、宇宙航空分野など半導体企業以外の顧客からもたらされているという統計もあり、システム設計領域の市場は大手EDAベンダの大きな伸びしろとなっている。先ごろSynopsysがAnsysの買収を発表しシステム設計領域へ本格的に参入したが、同分野においては長年投資を続けているCadenceがソリューションのラインナップで先行しており、市場の拡大に向けて更なる攻勢をかけ続けている。