業界初、AIベースのHDLコーディング支援ツール「RapidGPT」をRapid Siliconが発表
2023年4月11日、新興FPGAベンダの米Rapid Siliconは、FPGA設計向けのHDLコーディング支援ツール「RapidGPT」を発表した。
発表によると「RapidGPT」はFPGA設計専用のツールで、高度な自然言語処理、コード・オートコンプリート機能そして会話機能によってHDLのコーディング作業を支援。Rapid Siliconは「RapidGPT」を利用することでFPGA設計者の生産性を2倍に向上できるとしている。
「RapidGPT」のインテリジェントなコード・オートコンプリートは、設計者のコマンドの意図を理解し関連する提案を示してくれる機能を備えており、コーディング作業を効率化することが可能。コーディング・エラーを防ぐのにも役立つ。VHDLに対応しているかどうかは定かではないが、Verilog-HDLはサポートしているようだ。
コードを自動生成してくれるツールとしては、GitHubが2021年にリリースした「Copilot」やAmazonが2022年にリリースした「CodeWhisperer」が有名だが、「RapidGPT」はそれらコード自動生成ツールのHDL版と言えるもの。「Copilot」の場合は、文章からプログラムコードを生成する「OpenAI Codex」と「GPT-3」をベースに作られており、GitHub上の膨大なオープンソース・コードによって学習されているが、Rapid Siliconの「RapidGPT」は何を使って学習したものか明らかにされていない。
Rapid Siliconは、2020年に設立されたFPGAスタートアップで「FPGAの民主化」を掲げてエッジAI向けの16nmミッドレンジFPGA「Gemini」と合わせてオープンソースのツールをベースとした独自のFPGA設計環境「Raptor」を提供している。誰でも扱えるオープンソースのEDAツールを用いて社名の通り迅速にシリコン(FPGA)を実現するというのが同社のモットーのようだ。
同社の会長兼CEO Naveed Sherwani氏は業界の大ベテランで、元Intelのゼネラル・マネージャーで、その後設計サービス会社Open Siliconを創設、同社がRISC-V IPのSiFiveに買収された後にはSiFiveのCEOも勤めていた。また同氏はオープンソースのFPGA設計ツールとIPブロックの普及推進を目指す
「Open-Source FPGA Foundation」の創設者でもあり、オープンソースとFPGA、そしてAIを組み合わせて半導体業界の中で新たなムーブメントを起こそうとしている。
今回発表された「RapidGPT」は商用ツールとして発売されるようだが、その提供開始時期や価格、ツールの機能詳細については今のところ明らかにされていない。確認したところ、Rapid Siliconは7月にサンフランシスコで開催されるDAC2023には出展するようなので、DACに合わせて詳細な製品発表が行われるかもしれない。