「AIベースのチップ設計が実用段階に」、SynopsysのAI設計ツール「Synopsys DSO .ai」で設計した商用チップのテープアウト件数が100件に
2023年2月7日、Synopsysは同社のAIベースのEDAツール「DSO.ai(Design Space Optimization AI)」を用いた商用チップのテープアウトが100件に達したことを発表した。
Synopsysが「DSO.ai」を発表したのが2020年の初頭なので、約3年で100件のテープアウトを達成した形となるが、Synopsysはこの成果を受けて「AIベースのチップ設計が実用段階に入った」としている。
すでにSynopsysのユーザーから「DSO.ai」を用いた様々な設計事例が発表されているが、今回の発表ではSTMicroelectronicsとSK hynixの両社が「DSO.ai」の適用効果についてコメント。
STMicroelectronicsは、クラウド・ベース・バージョンの「DSO.ai」を用いてMicrosoftのAzure環境でPPA検討の生産性を3倍以上効率化することに成功。SK hynixは、直近のプロジェクトで「DSO.ai」を用いることによりセル面積15%削減、ダイサイズ5%削減という成果を得ているという。
AI機能を活用したチップ設計は、インプリメントの最適化を中心に検証の効率化に向けても適用が進んでいる。近年、かつての論理合成ツールのように設計にブレイクスルーをもたらす新技術は久しく現れていなかったが、AI技術の進化という大きな波は既にチップ設計を変え始めている。