Synopsysが設計生産性を最大10倍向上させるECO/サインオフソリューション「PrimeClosure」を発表
2022年10月5日、SynopsysはECO/サインオフ向けの新製品「PrimeClosure」を発表した。
発表によると新製品「PrimeClosure」は、Synopsysの既存のECOソリューション「PrimeECO」と「Tweaker ECO」を統合した新製品で、ECOに関わる工数を大幅に削減しデザインの早期収束を実現してくれる。
具体的には「PrimeClosure」を利用することで、PPA、クロックネットワーク、電圧降下、ばらつき、経年劣化といった様々な設計指標を改善することが可能。配置配線ツール「Fusion Compiler」やSTA「PrimeTime」と連携し大規模デザインのサインオフを実現する。
Synopsysによると「PrimeClosure」は、数百のシナリオを持つ10億インスタンス以上の大規模デザインにも拡張適用可能。無駄な枝葉部分の探索を切り捨て最適化が必要な設計データを絞り込む独自機能を備えており、れにより高速かつ省リソースな設計収束を達成できる。(ECOスピードを40%以上高速化し、メモリー使用量を最大60%削減)
また「PrimeClosure」はAnsys社のパワー・インテグリティ解析ツール「RedHawk-SC」とも統合動作可能で、設計後期段階で発生する電圧降下を高精度に解析しその最大50%を修正することができるという。業界初の同機能により、タイミングに悪影響を与えることなく電力効率を最大限高めることができるという話だ。
Synopsysは新製品「PrimeClosure」を業界最速のECOソリューションと主張しており、早期適用顧客においてタイミング性能を最大45%向上、消費電力を最大10%削減、ECO作業のやり直しを最大50%削減し、設計生産性を最大10倍向上させているとアピール(いずれの数値も従来比)。
発表にコメントを寄せているソシオネクストの担当者によると、「PrimeClosure」を利用することでECO期間を1/5以上短縮、しかもコンピューティング・リソースは1/5に、メモリー使用量は1/3に削減できたとしている。
なお、ほぼ時同じくしてCadenceも同様のECO/サインオフを高速化するソリューションを発表しているが、ECOの高速化と合わせて「PrimeTime」を核としたタイミング性能の向上やAnsysとの連携による電力効率の向上を強調するSynopysに対して、Cadenceは人手処理の自動化によるTAT短縮効果を強調している。
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