Synopsysがデジタル設計向けに新たなAIベースのデータ解析ツール「DesignDash」を発表
2022年6月1日、Synopsysはデジタル設計向けの新たなデザイン最適化ソリューション「DesignDash」を発表した。
発表によると「DesignDash」は、マシンラーニングによるデータ解析テクノロジを応用してデザインの最適化を行うツールで、大きく3つの役割を果たす。
1.膨大な量のチップ設計データを解析し、設計に活用可能な新たな知見を抽出/明示する
2.設計中のデザインを解析し、デザインの制限や問題の根本原因を特定し、潜在的な解決策を提案する
3.チップ設計プロセスの可視性を向上させ、広範囲に渡るデザインのステータスをリアルタイムに提示する
Synopsysは「DesignDashは膨大なデジタル・デザイン・データの中に潜むポテンシャルを解き放つ」と表現しているが、「DesignDash」が提供してくれる上記全てのアウトプットは、チップ設計における様々な意思決定に役立つというよりも意思決定を大きく変えるもので、大袈裟に言えばチップ設計をこれまでとは異なる次元に引き上げるものと言える。Synopsysは発表の中で解析データを活用することの重要性を強調しているが、「DesignDash」を使うことでユーザーはより多くの情報に基づいて、より速く、より高性能・高品質なチップを設計できるようになる。
なおマシンラーニングを用いたソリューションとしては、Synopsysは既に「DSO.ai」と呼ぶデザインのPPAを最適化するためのツールを提供しているが、チップの設計フローにおいて「DesignDash」は「DSO.ai」を補完するツールとして、デザインを解析し最適化の余地がある領域を特定/ガイドする役回りとなる。Synopsysによると「DesignDash」は、Synopsysのデジタル設計ツール・ファミリーとネイティブに統合されており、各設計段階のデザイン・データをシームレスに補足できるという。
また「DesignDash」は、Synopsysの「Silicon Lifecycle Management Family」を構成する「SiliconDash」ソリューションを補完するソリューションでもあり、シリコン実現の前後でデータの連続性を確保することができ、設計段階からシリコン・ライフサイクルまでを完全に網羅した貴重なデータ解析の機会を最大限活用できるということだ。
昨今、チップ設計において劇的な変化をもたらす新技術・新手法といったものはあまり出てきていないが、マシンラーニング技術やクラウド・インフラの活用により、既存の技術や手法がよりインテリジェントに進化し、そしてよりスケーラブルに利用できるようになってきている。この流れは今後も当分続きそうで、マシンラーニングを応用した設計の最適化は、来月サンフランシスコで開催される
第59回Design Automation Conference(DAC)においても多数の発表、講演が予定されている。