Synopsysが業界最速を謳う新型のエミュレーション・システム「ZeBu EP1」をリリース
2021年5月13日、Synopsysは新型のエミュレーション・システム「ZeBu EP1」のリリースを発表した。
Synopsysの提供する「ZeBu」シリーズのエミュレーション・システムは、CadenceやSiemensのエミュレーターと異なりFPGAをベースとしているが、今回発表された新製品「ZeBu EP1」は、Xilinxの16nm FPGA「Virtex UltraScale+ VU19P」が搭載されている。
ここのところ「Virtex UltraScale+ VU19P」を搭載したプロトタイピング・システムのリリースが各社から相次いでいるが、その流れの中でエミュレーター「ZeBu」も最新の大規模FPGAをベースとするシステムに刷新された形だ。
Synopsysによると新製品「ZeBu EP1」のエミュレーション動作性能は10MHzでSynopsys曰く業界最速。これはSynopsys独自のダイレクト・コネクト・アーキテクチャをベースにデザイン間の通信を最適化することで実現されている。
また「ZeBu EP1」は、今年2月に発表したパワー解析機能「ZeBu Empower」を用いたパワー解析も可能。現実的なソフトウェア・ワークロードを使って、プレシリコンの段階で電力消費を分析できるため、設計サイクルの早い段階で電力バグのリスクやSoC電力目標のリスクを大幅に削減できる。
速さとパワー解析機能に加えてシステムレベルのデバッグ機能も「ZeBu EP1」のウリの一つで、Synopsysは数十億サイクルのソフトウェア・ワークロードを実行しつつ、数十億ゲートの複雑なSoCを効率的にデバッグすることができるとしている。
従来から「ZeBu」を用いたソリューションの一つとなっている「Hybrid Emulation」機能も健在で、仮想プロトタイピング環境「Virtualizer®」との連携によりエミュレーション処理能力を大幅に向上することが可能。そのための仮想モデル(プロセッサ、メモリ、インタフェースなど)を豊富に用意している。
「ZeBu」上に実装するモデルとしては、PCIe 5.0、USB3、SATA、Ethernet、NVMeのホスト/デバイス・モデルが用意されており、SoC上で動作する実際のOS、ドライバ、アプリケーション・ソフトウェアを用いて、ホストからデバイスに至るソフトウェア・スタックの検証が可能だという。
新型の「ZeBu EP1」は既に出荷が開始されている。