SynopsysがFPGAベース・プロトタイピング・システム「HAPS-100」をリリース
2021年4月5日、SynopsysはFPGAベース・プロトタイピング・システム「HAPS-100」のリリースを発表した。
新製品「HAPS-100」は、既存の「HAPS-80」の後継となるプロトタイピング・システム「HAPS」シリーズの最上位製品で、Synopsysはプロトタイピング性能とデバッグ性能の向上を明言している。
※画像はSynopsys社Web上のデータ
これまでSynopsysが「HAPS」の新製品を発表する際は、必ず搭載されるFPGAについての説明があったが、今回は搭載FPGAに関する情報は出ていない。しかし、発表のタイミングや他社ソリューションの状況を考えると、Xilinxの16nm FPGA「Virtex UltraScale+ VU19P」が搭載されていると想像される。
同じXilinxの16nm FPGAを搭載するプロトタイピング・システムは、既にS2C, ProDesignがリリースしており、Cadenceも新製品を発表したばかり。FPGAベースのプロトタイピング・システムとして差別化を図るためには、搭載するFPGAデバイス以外の部分が重要となるため、今回Synopsysはあえてデバイスには触れず独自の技術によるプロトタイピング性能やデバッグ性能を強調したということだろう。
Synopsysによると「HAPS-100」の実行性能は複雑なSoCの場合で20〜50MHz、インターフェイスIPの場合は最大500MHzとかなり高速。これは「HAPS-80」同様、「HAPS」独自のFPGA間通信多重化技術やフロントエンド環境「Proto Compiler」のコンパイル技術などによって実現されていると考えて良いだろう。またデバッグ性能としては信号キャプチャ数が4倍になったということで、1つのFPGAあたり4000以上の信号をアットスピードでキャプチャする事ができるようだ。(HAPS-80では1つのFPGAあたり1000以上の信号をキャプチャ可能と説明されていた)
更に新しい「HAPS-100」には、マルチデザイン、マルチユーザーの並列利用を管理する「HAPSゲートウェイ」と呼ばれるソフトウェアも用意され、リモートアクセスによる多拠点利用などの運用性も高められたようだ。
「HAPS」はFPGAプロトタイピング・システム市場で強力な支持を集めており、既存製品の「HAPS-80」は2015年9月の発売から約4年間で販売台数3000台を超えていた。