AIチップベンチャーのビッグネームCerebrasとHailoが相次いで日本法人を設立
2020年8月および9月にかけて、AIチップ・ベンチャーのCerebras SystemsとHailoの2社が相次いで日本法人の設立を発表した。
Cerebras Systemsは、「WSE(Wafer Scale Engine)」と呼ぶ21.5cm角の超大型ディープ・ラーニング専用プロセッサを手掛ける米国のAIチップ・ベンチャーで創業は2016年。2018年11月の時点で投資家から累計2億ドル以上を集めている。「WSE」を搭載するディープラーニング・システム「CS-1」はトレーニングのアクセラレーション向けに既に市販されており、国内では東京エレクトロンデバイスが代理店として販売している。
ここ最近、米ピッツバーグ・スーパーコンピューティング・センターが「CS-1」を導入し、AIスーパーコンピューターの構築するという話や、米アルゴンヌ国立研究所が新型コロナウイルスのワクチン開発向けに「CS-1」を導入したといった話が発表されており、少なくとも北米市場ではビジネスが進んでいるように見える。
東京エレクトロンデバイスという代理店を持ちながら日本法人を設立するということは、日本市場でもビジネスが動き出し本腰を入れるという事なのだろう。設立されたセレブラス・システムズ合同会社の代表執行役社長には、NAS市場に精通する江尾浩昌氏が就任している。
もう一方のHailoは2017年に設立されたイスラエルのAIチップベンチャーで、Cerebras Systemsとは異なりエッジ推論向けのAIプロセッサを手掛けている。同社は今年の3月に資金調達Bラウンドで6000万ドルを調達。累計7000万ドル以上を集めており、投資家には日本のNECも含まれている。今年の5月にはFoxconn、ソシオネクストと共同でエッジ向け次世代AI映像解析ソリューションの提供を発表しており、既に日本市場への参入を露わにしていた。
Hailoは昨年5月にディープラーニング専用プロセッサ「「Hailo-8」を発表。「Hailo-8」は自動車分野を主なターゲットとしており、推論実行時の電力効率の高さをうりにしている。Hailoによると「Hailo-8」は同等のCNNタスクを「Nvidia Xavier AGX」の20分の1の消費電力で実行できるという事だ。
設立されたHailoジャパン合同会社の代表取締役社長には、元ソニーでコーポレートベンチャーキャピタルの設立、運営にあたっていた内田裕之氏が就任している。