Siemens(Mentor)が配置配線ツールのAvatar Integrated Systemsを買収
2020年7月15日、Mentor Graphicsを事業部として抱えるSiemensは、配置配線ツールを手掛けるEDAベンダ、Avatar Integrated Systemsの買収を発表した。
発表によるとSiemensによるAvatarの買収は今年後半に完了する予定。その取引条件などは明らかにされていない。
Avatarは2017年に設立されたEDAベンダで、Synopsysとの係争に敗れ事業清算に追い込まれたATopTech社の技術をバックグラウンドとしている。
AvatarはATopTechが提供していた配置配線ツールと同じ名前の配置配線ツール「Aprisa」を提供し、Samsung, Broadcom, Cypress, Mellanox, Xilinxなど複数の大手顧客を抱えていた。Avatarのツール「Aprisa」は、16nm以降の先端プロセスデザインにおいて高い性能を発揮するとされている。
Siemensは買収するAvatarの配置配線ツールを、同社Mentor事業部の物理検証ツール「Calibre®」、DFTツール「Tessent™」、高位合成ツール「Catapult™」などと統合して顧客に提供していく計画。
MentorはかつてSierra Design Automationから買収した配置配線ツール「Olympus-SOC」を保有しているが、16nm以降の先端プロセスデザインの市場でCadence/Synopsysの競合製品に太刀打ちできず、配置配線ツールのユーザーを拡大する事ができなかった。
その後Siemensに買収されたことで、MentorのEDA事業の先細りを危ぶむ声も少なくなかったが、今回のAvatarの買収は、Siemens/MentorとしてEDA事業の拡大を諦めていないという大きな意思表示と見て取れる。
大手2強の製品に潰されることなく顧客を獲得してきたAvatarの配置配線ツール「Aprisa」。今後、Siemens/Mentorの中でどう成長していくのか楽しみである。