DAC2020 完全バーチャル・イベントとして現地時間明日開幕
2020年7月20日、今年で57回目となるDesign Automation Conference(DAC2020)が西海岸標準時(夏時間)AM9:00より開幕する。
今年のDAC2020は新型コロナウイルスの影響で同カンファレンス初の完全バーチャル開催となった。7月25日までの会期中に行われる全てのセッションがオンラインで配信される予定だ。またそれら全てのセッションは8月1日までオンデマンド配信される。
当然ながらその対象はカンファレンスに参加登録した人のみ。参加費用はIEEEメンバーでUSD199.00, 一般参加の場合にはUSD249.00が必要となる。
訂正:キーノートを含む多くの特別企画セッションは無料でアクセス可能です。
実際に参加登録をして驚いたのは、全ての参加登録者の情報がオープンになっていること。そして講演者、出展者を含む参加者同士でメッセージを送りあったり、ミーティングを設定したり、個々のセッションの聴講登録者同士でやり取りしたりと、様々な形でコミュニケーション可能となっている。
北米ではこういったスタイルのオンライン・イベントが当たり前なのかと思いきや実際にはそうでもないようで、DACとしては意欲的にイベント参加者の交流に力を注いだようだ。素晴らしい。
DAC2020の内容について簡単に解説しておくと、今年は自立システム、ハードウェア設計、EDA、組み込みシステム、IP、機械学習/AI、セキュリティ、クラウド設計と大きく8つのトピックスにフォーカスしてプログラムが構成されている。
米EETimes誌の記事によると、今年提出された論文数は前年比21%増の984件でうち228件の論文を採択。AIおよびMachine Learningのハードウェア・アーキテクチャに関する論文が前年比86%増と際立って多く、セキュリティや組込みシステムに関する論文も増加しているという。(DAC2020 Vice Chair Harry Foster氏のコメント)
また、RISC-Vに関する注目も依然継続しており、論文の25%がオープンソースの命令セットアーキテクチャを組み込んだプロジェクトに関連するものだということだ。
なお今年のオープニング・キーノートは、元スタンフォード大の教授でIEEEフェローのTSMC H.-S. Philip Wong氏。同氏は3D ICに基づくシステムレベルの半導体デバイスの進化について語るようだ。
また、2日目以降のキーノートは下記の登壇者が予定されている。
・RISC-V FoundationのCEO Calista Redmond氏 7/21 Keynote RISC-V関連の話
・Cerebras SystemsのCEO Andrew Feldman氏 7/22 Keynote AIチップの話
・Stanford Universityの教授 Andrea Goldsmith 7/23 Keynote 6G通信の話
初日に行われるチュートリアルは計13種類。昨年に続いてエッジ推論、FPGAアクセラレーション、セキュリティ、自動運転といったテーマの他に、Chiplet Integration、Compute-in-Memoryといったテーマも論文発表からチュートリアルへと移ってきている。
DAC2020の中心となるResarchトラックは会期を通じて計67セッションが予定されており、うち24セッションがAIおよび機械学習の関連する内容となっている。
展示会場内の特設会場DAC Pavilionで行われるDACの人気企画「Tech Talk」は、バーチャル開催の今年も実施される予定。今年はDAC Pavilionのほかに2年前まで行われていたDesign-on-Cloud Pavilionが復活したほか、新たにRISC-V Pavilionが新設された。
スポンサーによる展示はバーチャル展示という形で計60社が参加する。各社の展示にアクセスすると、動画やZOOMセッションを通じて製品情報を入手できる。スポンサー説明員とのライブチャットを利用したインタラクティブなやり取りも可能ということだ。
バーチャル開催という初の試みにチャレンジする今年のDAC。セッションや展示は、日本時間で夜中から始業前位の時間で行われるので、是非この機会にアクセスしてみてはいかがだろうか?
※スポンサーの展示およびキーノートを含む多くの特別企画セッションは無料でアクセス可能です。