高位合成ツールの老舗、米Bluespecがツールセットをオープンソース化
2020年1月6日、ESL合成ツールを手掛ける米Bluespecは、同社の提供している「BSVツール」のオープンソース化を発表した。
Bluespecは元々MITのスピンアウトとして生まれたEDAツールベンダで、高抽象度の独自のハードウェア記述言語「Bluespec SystemVerilog」を用いたRTLの自動生成ツール「BSVツール」を提供している。「BSVツール」は、一般的な高位合成ツールが行う「スケジューリング」とは異なるアプローチでRTLを合成するのが特徴で、スケジューリングにあたる作業は設計者に委ねられるが、抽象度の高い言語でコーディング可能なため、複雑な制御回路なども効率的に設計できるとされている。
「BSVツール」は一時期、高位合成ツールの新たな潮流としてもてはやされた時期もあり、国内外でも大手が採用という動きがあったが、ツールとしては大成に至らず、近年BluespecはオープンソースのISA「RISC-V」に商機を見出し、独自のRISC-Vベースコアの提供に注力。その開発環境として「BSVツール」を活用していた。
Bluespecによると、「BSVツール」のソースコードは、標準のオープンソース・ライセンスの下でライセンスされ、別の非営利組織によってホストされる予定。Bluespecは、オープンソースのツールとして「BSVツール」を引き続き提供し、公開リポジトリのアップストリームの修正や機能強化も継続するとしている。
なお、既に製品として提供しており、同社のビジネスの中心となっている、RISC-Vプロセッサ向けの開発環境「RISC-V Factory」は今後も販売される。同環境には「BSVツール」も組み込まれており、RISC-Vプロセッサの評価/検証およびカスタマイズ環境として機能する。