CadenceがVision/AI向けの新型DSP「Tensilica Vision Q7」を発表、性能が2倍に向上
2019年5月16日、CadenceはDSPコアの新製品「Tensilica Vision Q7」を発表した。
発表によると「Tensilica Vision Q7」は、既存の「Vision Q6」の後継にあたる第7世代目の製品で、Vision及びAIアプリケーションを扱うエッジ向けSoCを主なターゲットとしている。当然ながら「Vision Q7」は「Vision Q6」よりも性能向上が図られており、演算性能はQ6と同じ面積で最大2倍、最大1.82TOPSのパフォーマンスを誇る。
「Vision Q7」の性能向上の背景には、MAC及び単精度/半精度浮動小数点数ユニットの倍増など演算リソースの増強が挙げられるが、特筆すべきはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)アルゴリズムに特化した最適化が施されている点で、SLAMアルゴリズム用の拡張命令が追加されたほか、SLAMアルゴリズム用の演算ライブラリも新たに用意された。この「Vision Q7」に最適化されたSLAMライブラリを利用する事で高い処理性能を容易に実現できるという。なお、面積を増やす事なく性能向上を実現できているのは、ハードとして設計を改善/最適化したところも大きいという話だ。
「Vision Q7」は、Vision/AIアプリケーションの要求性能に応じて、マルチコア化により柔軟に対応可能。推論パフォーマンスを要求される場合は推論専用の「DNA100」と併用することもできる。また、「Vision Q6」の後方互換であるため、既存のソフトウェアを簡単に移植できる。
ソフトウェア開発環境としては、AIアプリケーション向けにCaffe, TensorFlow/TensorFlow Lite, Android Neural Networks API(NNAPI)をサポート。Visionsアプリケーションに向けては、最近OpenCL及びHalideにも対応可能となった。また「Vision Q7」はツール環境も含めてISO 26262の認証を受けているという。
※画像は全てCadence提供のデータ
Cadenceによると「Vision Q7」は既に先行顧客向けにリリース済みで、一般リリースは2019年Q2からの予定。
※日本ケイデンス・デザイン・システムズ社