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【SNUG Japan 2018】NECはスパコン開発でFPGAプロトタイピング環境「HAPS」を10台導入

2018年6月13日、Synopsysのユーザーミーティング「SNUG Japan 2018」で行われたNECによるセッション、新プラットフォーム「SX-Aurora TSUBASA」開発におけるHAPS活用事例のレポート。
講演者:日本電気株式会社 AIプラットフォーム事業部 技術エキスパート 内堀 修作氏。

SNUG Japan 2018イベントページ


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同セッションは、NECのスーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」に搭載されている新型のベクトルプロセッサのFPGAプロトタイピングの事例である。使用したのはSynopsysのFPGAプロトタイピング環境「HAPS-70」と「HAPS-80」で、NECは最終的に「HAPS」を計10台近く導入した。

内堀氏によると「SX-Aurora TSUBASA」は従来のSXシリーズ製品とは異なる思想で開発された新アーキテクチャ、新ベクトルプロセッサを用いたPCI Expressカード型のシステムで、Linux上のプロセスをHW化したようなイメージでアプリケーションを丸ごとベクトルプロセッサ上で実行できる。これによりPCI Expressのボトルネックを回避した高速演算が実現できる他、これまで開発していたスパコン専用OSの開発が不要になるなどのメリットがある。

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今回NECは、「SX-Aurora TSUBASA」の新しいアーキテクチャの実証やベクトルプロセッサをLinux上のプロセスに見せかけるためのソフトウェアの検証などを目的に、初めてRTLベースのFPGAプロトタイピング環境の導入を考えた。

「HAPS」導入前に8コア構成のベクトルプロセッサのプロトタイピングを検討した結果、デザインの大きさからベクトルプロセッサの構成を2コアにしペリフェラルも縮小した形でプロトタイピングする事にした。当初はプロトタイピング・ボードの内製も検討したがスケジュール的に厳しく、市販のプロトタイピング環境の導入を検討。外部I/Fの自由度やSynopsys製の設計IPの利用を考えていた事から「HAPS-70」を導入することにした。

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「HAPS-70」を用いたプロトタイピングは3つのステップに分けて計5ヶ月かけて実施した。その結果、新アキーテクチャを含む数件の問題を検出。HAPS自体の問題は特に無く、これは使えるという判断で更に「HAPS-70」を2台追加で導入した。なお、社内ユーザーへのHAPS環境の提供にあたっては事前にSWおよびHW開発者と意識合わせを行い、設計者のニーズに合わせた形で出来上がった環境をステップバイステップで提供していく形をとった。また、HAPSへのデザインの分割は環境の使い回しを重視した。

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デザインの実装については、HAPSのデザイン環境「ProtoCompiler」とXilinxのデザイン環境「Vivado」の両方を試して比較した。ベクトルプロセッサのベクトルユニットの実装においては「ProtoCompiler」の方が優れた結果を出し、デザイン分割もスムーズに完了した。新型の「HAPS-80」を使った例では「Vivado」で配線NGでも「ProtoCompiler」を使えば配線を完了できたという。

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NECでは最終的に評価環境に合わせて10種類のモデルを準備し、海外を含む4拠点でコンフィグレーションを切り替えてHAPS環境を運用。運用の管理にはHAPS専用の「ConfPro」というソフトを用いてほぼ24時間の稼働を実現した。結果的にHAPSを導入した事で開発期間の短縮を実現。製品の出荷を約6ヶ月前倒しすることができたという事だ。

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内堀氏は最後に「HAPS活用でわかったFPGAプロトタイピング3つのポイント」を挙げて講演を終えた。

 ・Reality いかに実機に近づける事ができるか?
 ・Accessibility いかに早く構築、そして簡単に使えるか?
 ・FPGAならではの付加価値 不具合解析、トレース機能などの活用

日本シノプシス合同会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2018/06/18 )

 

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