CadenceがAI性能を1.5倍高めたTensilica Vision Q6 DSP IPをリリース
2018年4月12日、Cadenceは、組み込みビジョンおよびAI向けDSPコアの新製品「Cadence® Tensilica® Vision Q6 DSP」のリリースを発表した。
「Tensilica® Vision Q6 DSP」は、組み込みビジョン向けDSPとして5世代目にあたる製品で、前世代の「Vision P6 DSP」を元に開発された新製品。「Vision P6 DSP」は、HiSiliconのAI搭載AP「Kirin 970」にも採用されている。
Cadenceによると前世代の「Vision P6 DSP」のピーク性能と比較して、コンピュータ・ビジョンおよびAI性能は1.5倍、電力効率は1.25倍の向上を実現。「Vision C5 DSP」と共に使用することで、毎秒384GMACを超えるAIパフォーマンスを必要とするアプリケーションにも対応することが可能だという。また、「Vision Q6 DSP」は、「Vision P6 DSP」と同じフロアプラン面積で、1.5GHzのピーク周波数と1GHzの標準周波数を16nmプロセス上で実現するという事だ。
※画像はVision Q6 DSPのブロック図 Cadence webページ公開データ
「Vision Q6 DSP」はAI向けDSPとして、Caffe、 TensorFlow、TensorFlowLiteで開発されたAIアプリケーションサポートをしており、Tensilica Xtensa® Neural Network Compiler (XNNC)によってニューラルネットワークを「Vision Q6 DSP」向けに高度に最適化されたハイパフォーマンスなコードにマッピングし、最適化されたニューラルネットワーク関数ライブラリを活用して「Vision Q6 DSP」の実行ファイルを生成することが可能。Android Neural Network (ANN) APIもサポートしている。
また「Vision Q6 DSP」は、1500以上のOpenCVベースのコンピュータ・ビジョン関数およびOpenVXライブラリ関数に完全に対応しており、既存のコンピュータ・ビジョン・アプリケーションを最適な形で迅速に移行することが可能。「Vision P6 DSP」と後方互換性で既存のソフトウェア資産も「Vision Q6 DSP」に容易に移行できる。
市販のエッジ向け組み込みAIソリューションは、パフォーマンスと電力効率の両面で競い合う状況となっており、各社新製品の投入が相次いでいる。今回Cadenceが発表した「Vision Q6 DSP」は、13段のディープパイプラインに加え、システムデータの帯域幅やメモリー帯域幅を向上させるなど、アーキテクチャを刷新することで大きな性能向上を実現している。