Synopsysが打ち出した新たな設計技術「Fusion Technology」とは?
2018年3月19日、Synopsysはシリコンバレーで開催したユーザー・イベントで新たな設計技術「Fusion Technology」を発表した。
Synopsysによると「Fusion Technology」は同社の最適化テクノロジと業界標準となっているサインオフ・テクノロジを融合させる新技術で、設計品質を確保しながら開発期間の短縮を実現するもの。同技術の対象の中心となるのはSynopsysの下記ツール群で、Synopsysは具体的に4つの「Fusion Technology」を提案している。
・Design Fusion:共通の設計エンジンによる論理合成と配置配線の融合
・ECO Fusion:配置配線工程におけるサインオフ技術の融合
・Signoff Fusion:サインオフ工程とデザイン最適化工程の融合
・Test Fusion:テスト容易化のためのRTL解析と論理合成の融合
【Fusion Technologyの主な対象ツール】
-配置配線ツール IC Compiler™ II
-論理合成ツール Design Compiler® Graphical
-スタティックタイミング・サインオフ・ツール PrimeTime®
-RC 抽出サインオフ・ツール StarRC™
-フィジカル検証サインオフ・ツール IC Validator
-テスト圧縮ツール DFTMAX™
-テストパターン自動生成ツール TetraMAX® II
-テスタビリティ解析ツール SpyGlass® DFT ADV RTL
-機能等価性検証ツール Formality®
※画像はSynopsys提供のデータ
Synopsysの「Fusion Technology」の狙いは、従来のRTL to GDSII設計フローにおける各工程間の境界線を無くし「設計のやり直し」を防ぐことにあり、それを実現するためにSynopsysはツール間で共有できるエンジンや独自の「Fusionデータモデル」を用意している。
また、この「Fusion Technology」はSynopsysのツール内に閉じたものではなく、サードパーティー製ツールとの融合も視野に入れられており、Synopsysの配置配線ツール「IC Compiler II」とAnsysのパワー解析ツール「RedHawk」を融合する「RedHawk Analysis Fusion」という新製品が発表されている。
発表に寄せられたSamsung Electronics ASIC&IP事業部 上級副社長 Jaehong Park氏のコメントによると、Design Fusionを使うことで結果品質が10%向上し、ECO Fusionを使うことでECO終了までにかかる期間を1日以内に短縮することができたという。