SynopsysがCNNエンジン搭載Embedded Vision向けプロセッサの新製品を発表
2016年6月2日、Synopsysはエンベデッド・ビジョン(Embedded Vision)向けのプロセッサIPコア「EVプロセッサ」の新製品「EV6x プロセッサ・ファミリー]を発表した。
Synopsysによると新製品「EV6xファミリ」は、既存の「EV5」ファミリの後継上位製品で、内部のアーキテクチャを変更しそのパフォーマンスは最大100倍にまで向上されているという話。それにより、高解像度監視カメラや車載のフロントカメラなどへの利用も可能になった。
CNN特化エンジンを搭載することにより、GPUを利用するソリューションとほぼ同等のパフォーマンスを数分の一の低消費電力で実現するというのがこの「EV6xファミリ」の特徴だ。
「EV6xファミリ」のアーキテクチャは、下の画像資料に示すように「EV5」に対して大きく変わった。ビジョン・プロセッサの部分は、32ビットのスカラユニットと512ビットのベクターDSPを組み合わせたコアを最大4個利用できる構成に。CNNエンジンの部分はオプションとなり(つまり不要であればビジョン・プロセッサ単体のみを利用可能)、これまでの最大8つのPE(processing element)を利用できる構成から、「Convolution」部と「「Classification」部に分かれた固定された構成に変更された。
※画像はEV6xの構成図
※画像はEV5の構成図
これらアーキテクチャの変更は、自由度よりもCNNエンジンのパフォーマンス向上に特化して実施されたもので、CNNエンジンの積和演算能力の向上やエンジン間のバンド幅の向上などによりそのパフォーマンスは大幅に向上。例えば、これまでの「EV5」ファミリが扱える動画はフルHD程度だったが新しい「EV6xファミリ」では4K動画も扱えるレベルになった。
更にもう一つ大きな変更点としては、「EV6xファミリ」ではCNNエンジンにインプリするディープ・ラーニングのトレーニング/ティーチング結果をユーザー自ら行えるよう専用のツール環境が用意された(これまではSynopsysに依頼する必要があった)。これにより、ユーザーはトレーニング/ティーチング結果の入れ替えや、CNN処理方法の変更などを手元で行えるようになる。
なお、ツール環境という面では、従来通りOpenCV, OpenVX, OpenCL, MetaWareといった各種標準フォーマットの言語、ライブラリ、ツールセットを利用する事が可能。ライブラリ類は年1回のペースでアップデートされており、今後も拡張されていく予定である。
Synopsysによると、新製品「EV6xファミリ」は既に2社が導入済みで量産を見据えた設計が進められているという。
※「EV6xファミリ」に関する詳細は8月23日開催予定のASIP関連のセミナーで紹介される予定(詳しくは日本シノプシスにお問い合わせ下さい)