Cadenceが「Cynthesizer」と「CtoS」を統合した新型高位合成ツール「Stratus」を発表
2015年2月24日、Cadenceは高位合成ツールの新製品「Stratus High-Level Synthesis」を発表した。
Cadenceの新型高位合成ツール「Stratus」は、一言で言うと既存の高位合成ツール「Cynthesizer」と「CtoS」のいいとこ取りをした統合製品で、正式には今年の3月末にリリースされる予定となっている。
Cadenceによると「Stratus」の合成品質は、人手によるRTL設計と比較してPPA(消費電力、パフォーマンス、面積)のQoRを概ね20%改善でき、検証速度は5倍、設計生産性は10倍向上可能との事。
「Stratus」の大きな特徴はIPのインテグレーション能力とバックエンド・ツールとの親和性を兼ね備えている点で、「Cynthesizer」のユーザーから見ると論理合成ツール「RTL Compiler」とのイタレーション機能により合成結果を更に向上可能になり、「CtoS」のユーザーから見ると「Cynthesizer」で用意されていたインタフェースIPや浮動小数点IPなど各種合成用IPを用いたIPインテグレーションが可能となる。この辺りが既存ツールのいいとこ取りの部分と言える。
合成エンジンに関してその詳細は明らかにされていないが、基本的に既存の合成用Cコードを入力可能でその合成結果が劣化する事は無い。未だ「Cynthesizer」と「CtoS」の合成スクリプトやIPが完全にサポートされている訳ではないが、「Stratus」への移行をユーザーに促すためにマイグレーション対応を順次進めていくという話だ。
GUIに関しては、合成作業のGUIは「Cynthesizer」ベース、合成結果の解析GUIは「CtoS」ベースとここもいいとこ取りの形となっている。
尚、「Stratus」のリリースにより「Cynthesizer」と「CtoS」のバージョンアップは終了するが、ツールとしては引き続きサポートを継続。ユーザーは「Cynthesizer」と「CtoS」を使い続ける事ができる。ライセンスにおいても「Stratus」のライセンスで「Cynthesizer」と「CtoS」を利用可能にするなど、既存のユーザーに対して配慮する形のようだ。
聞くところによると、既に「Cynthesizer」と「CtoS」を利用したテープアウト件数はワールドワイドで1000件を超えており、現在進行形でユーザー数は伸びているとの事。中にはFPGAユーザーも含まれているという事で、「Stratus」ではFPGAターゲットの合成もサポートされている。