名古屋大、富士ソフト、ASTCらがルネサスRH850対応のAUTOSARベースRTOSを開発
2014年11月19日、名古屋大学、富士ソフト、ASTC、TOPPERSプロジェクトが連名でTOPPERS/ATK2のルネサスRH850対応とその一般公開を発表した。
発表によると名古屋大学らTOPPERSプロジェクトの関連チームは、これまでルネサスのマイコン「RH850」に対応していなかったAUTOSARベースのRTOS「TOPPERS/ATK2」を同マイコンに対応すべく活動。ソースコードの開発は名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター(NCES)が行い、それを富士ソフトが検証。開発はASTCの提供する「RH850」のバーチャル・プラットフォームを用いて行われた。
今回開発された「TOPPERS/ATK2」のルネサスRH850対応版は、「RH850/F1L」および「RH850/F1H」に対応しており、他の品種にも移植が容易な構造となっているとの事。TOPPERSの開発する車載向けRTOSとしては既にOSEK/VDX仕様に準拠した「TOPPERS/ATK1」があり、日産は同RTOSを市販車シーマ、フーガ、スカイラインのハイブリッド制御モジュールに使用している。「TOPPERS/ATK2」は「TOPPERS/ATK1」に続く第二世代の車載向けRTOSとして開発されたもので、現在も機能安全規格対応や時間パーティショニング機能の追加などエンハンスが進められている。
「TOPPERS/ATK2」の開発に使用されたASTCのバーチャル・プラットフォームは「VLAB」という製品名で、業界では後発といえる環境ながら車載分野をはじめ各種組み込みソフトの先行開発で実績を上げている。
ASTCはRH850のユーザー向けに「VLAB RH850 バーチャルプラットフォームツールボックス」を用意しており、これを用いる事でセーフティ、シャーシ、ハイブリッドモーター、エンジンコントロール、ボディ向けの各種「RH850 ファミリ」をターゲットとしたソフトウェア開発が可能。同ツールボックスには、RH850 IPブロックの各モデル、MCUの各シリーズのネットリスト、ターゲットソフトウェアのサンプルコード、起動スクリプトそしてドキュメントが同梱されており、今回の「TOPPERS/ATK2」RH850対応版の開発にもこれらが用いられたようだ。尚、ASTCの「VLAB」環境は、MathWorksのMATLAB/Simulink、 Green HillsのMULTI IDE、VectorのCANoe等ECU開発で使用される各種主要ツールとのインタフェースも備えている。
ルネサスRH850対応の「TOPPERS/ATK2」は、TOPPERSのWebサイト上で一般公開されている。