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Synopsysが検証技術を全て盛り込んだ新製品「Verification Continuum platform」を発表(その2)

2014年10月17日、Synopsysは「シノプシス ベリフィケーション・セミナー2014」と題した検証技術にフォーカスしたプライベート・セミナーを都内のホテルで開催した。

セミナー概要Webページ

初めて参加する同セミナーには、9/19に開催された「JSNUG 2014(SYNOPSYS USERS MEETING 2014)」で行われたコニカミノルタのユーザー事例講演、「ARM、PCIe I/Fを含むデザイン向けのハイブリッド・エミュレーション・キットと適用事例紹介」のより詳細な続報を聞きに赴いたが、想像以上に会場には多数の人達。推定100名近い参加者を集めていた。

ここでは、同セミナーの冒頭にも紹介のあったSynopsysの新ソリューション「Verification Continuum platform」の詳細についてレポートする。
※コニカミノルタ社のハイブリッド検証環境については別途記事掲載予定


「Verification Continuum platform」は、Synopsysが今年9月23日に発表した新たな検証ソリューションで、複雑化するSoCのソフトウェア開発に向けたものとなる。未だ明確な製品構成/ライセンス構成は明らかにされていないが、既存の検証ソリューションを全てまとめ上げたような複数ツール機能を横断する検証ソリューションで、具体的には下記の図のようにSynopsysが保有する各機能が同プラットフォームを構成する。

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日本シノプシス 技術本部 ベリフィケーション&FPGA製品担当ディレクターの黒坂均氏によると、「Verification Continuum」は以前から同社が暖めてきた「連続的な検証」というコンセプトを具現化するもので、SoC設計の前倒しのための重要課題である「ソフト開発の前倒し」に対処するもの。SoC設計の前倒しには「バグの早期発見・デバッグ」という課題もあるが、それについては今年発表した「Verification Compiler」で既に対処しており、今回の「Verification Continuum」は「Verification Compiler」も包含する形で「ソフト開発の前倒し」に取り組んでいる。

では「Verification Continuum」とは一体どんなものか?

その中核をなすのが「Unified Compile」と呼ぶVCSの共通コンパイラだ。「Unified Compile」は既にスタティック/フォーマル検証ツール、シミュレータ、エミュレータ、FPGAベース・プロトタイピングと全てのツールのフロント・エンドとして利用可能。

「Unified Compile」の狙いはそれぞれの検証ツールのエンジンをフローとしてシームレスに繋げる事にあり、高性能なVCSコンパイラを共通利用する事により各検証環境間の行き来をスムーズにし、各環境のセットアップの効率化を実現。環境の立ち上げ時間が短縮できれば結果としてソフト開発の前倒しに繋がり、環境がシームレスに繋がっていれば検証工程/環境をまたぐ手戻りにも対応が楽になる。実際にエミュレーション環境「ZeBu」では、フロント・エンドのコンパイル時間が最大3倍高速になったという効果が出ているようだ。

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尚、エミュレータとFPGAベース・プロトタイピング向けにはフロントエンドの「Unified Compile」の他にFPGAの配置配線を考慮したバックエンド向けの共通コンパイラが別途用意される予定で、同コンパイラはXilinxとのコラボレーションにより開発中。P&R短縮のためのテクノロジが取り込まれるという話だ。

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「Verification Continuum」の最大の目玉は上述した通り各検証ツールにおける「コンパイラの共通化」にあるが、その他の共通化としては、検証プランニングとカバレッジ計測、デバッグ、検証IPや各種モデル、データベースも共通化が図られ、「Verdi」のデバッグ機能はあらゆる検証環境で利用する事が可能になる。EDA大手3社はそれぞれに各種検証エンジンを保有しているが、環境を共通化する上で業界デファクトのデバッグ環境「Verdi」を保有している点はSynopsysの大きな強みと言える。

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黒坂氏によると「Verification Continuum」は今年の年末から段階的にリリースされる計画で、まずはエミュレータ「Zebu」のフロントエンドが先に出てくるのが濃厚な様子。既に海外で先行ユーザー2社が先行評価を進めているようだが、一般顧客向けには2015年からの提供開始となる。

「Verification Continuum」はSynopsysの全機能検証ツールをまたぐ大掛かりなソリューションであるため、その完成形のお目見えまでには未だ時間が掛かりそうだが、業界初となるコンパイラの共通化というSynopsysの試み、更にはXilinxとのコラボレーションによるFPGA向けコンパイラの登場にも期待したい。

日本シノプシス合同会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2014/10/27 )

 

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