富士通セミがSynopsysのインプリ・フローでARMベースSoCのリーク電流を30%以上削減
2014年10月3日、Synopsysは富士通セミコンダクターによる同社インプリ・フローの成功事例を発表した。
発表によると富士通セミコンダクターはSynopsysのインプリ・フローを用いてARM big.LITTLE技術を採用した「ARM Mali-T624」GPU搭載のマルチコアの高性能画像処理プロセッサ「MB86S70」を開発。性能を犠牲にすることなく30%以上ものリーク電流を削減する事に成功した。
富士通セミコンダクターが使用したSynopsysのインプリ・フローは、論理合成ツール「Design Compiler Graphical」、配置配線ツール「IC Compiler」、スタティック・タイミング・サインオフ・ツール「PrimeTime」によって構成されるもので、富士通セミコンダクターはこれらツールで実現されるUPFベースの階層ローパワー設計フローを用いて6000万ゲートのデザインを28nmプロセスで実装した。
富士通セミコンダクターの「MB86S70」は、「ARM Mali-T624」GPUを4個、「ARM Cortex A15」と「Cortex-A7」を2個づつ搭載する大規模画像処理プロセッサで、設定した非常に高い消費電力/性能目標をクリアするために、多電源や機能ブロック単位の電圧調整といった最先端のローパワー・マネージメント・テクニックを駆使することで目標を上回る消費電力と性能を実現したという。
「PrimeTime」などSynopsysの単品ツールを用いた富士通セミコンダクターの事例は珍しくないが、先端SoC開発でSynopsysのインプリ・フローを使用したという事例発表は比較的珍しいと言える。ちなみに同成功事例は先日サンタクララで開催されたARMのイベント「ARM TechCon 2014」にて富士通セミコンダクターによって発表されたようだ。