Mentorがヘテロジニアス・マルチ・コアに対応する組込みソフト開発ソリューションを発表
2014年7月17日、Mentor Graphicsは、ヘテロジニアス・マルチ・コアSoCに対応可能な業界初の組込みソフト開発ソリューションを発表した。
MentorはEDAベンダの中では最も広範囲に組込みソフト開発に対するソリューションを展開している企業と言えるが、今回発表したソリューションは既存の各ソリューションをベースにそれらを結びつけ相互運用するための独自の機能を追加したもので、ヘテロジニアス・アーキテクチャの次世代SoC向けのソフトウェア開発をターゲットにしている。
異なるアーキテクチャの複数のコアで構成されるヘテロジニアス・マルチ・コアSoCでは、Linux、RTOS、Hypervisorなど様々なOSやアプリケーションが稼働することがあり、それらをシステムとして統合しSoC化するには、個々のコアの実装だけでなく各コア上のOSの協調やコア間の通信なども考慮した複雑なシステム開発が必要となる。
今回Mentorが発表したソリューションは、同社の「Mentor® Embedded Linux」、「Nucleus® RTOS」、「Mentor® Embedded Hypervisor」の利用を前提としたヘテロジニアス・マルチ・コアSoC向けの開発ソリューションで、その開発環境は同社の組込みソフト開発環境「Sourcery™ CodeBench」がベースとなる。
ソリューションのキーとなるのは、Linux上のアプリから他のプロセッサやマイクロ・コントローラを制御する「リモートプロセッサフレームワーク(remoteproc)」機能や、サブシステム間やプロセッサ間通信を実現するための仮想インタフェース(VirtIO)、rpmsg、マルチコア通信API(MCAPI)、異なるOS間の情報のやり取りを視覚化するデバッグおよび性能解析機能などで、Mentorが開発したこれら機能によって様々な異種プロセッサ上に複数のOSとアプリケーションをコンフィギュレーションし搭載する事が可能に。複数のOSを効率的に同時に起動できるヘテロジニアス・マルチ・コア・システムが開発できるようになる。
尚、Mentorによると同ソリューションはTI社のOMAP5開発ボードを用いて実証済で、各種SoCベンダと様々な形で協業を進行中との事。顧客のニーズによってはMentor製OS以外の実装などにも対応可能という話だ。
今回のソリューションに対するMentorのメッセージのポイントは、単に新たな組込み開発ソリューションを用意したという事ではなく、既存の複数のシステムやチップをヘテロジニアス・マルチ・コアSoCとして機能集約する事でより高機能/高性能なシステムを実現できるため、そのために必要な開発環境を用意したというところにあり、例えば複数ECUの統合により低コスト化を狙う自動車業界などもそのメッセージの視野に入っているようだ。
更に付け加えると、同ソリューションを提供できるのは、組込みOS、RTOS、Hypervisor、そして組込み開発環境と多様な組込み開発ソリューションを包括的に用意しているMentorのみ。というところだ。