Synopsysが9年振りにインプリツールの新製品「IC Compiler II」を発表、処理能力を10倍向上
2014年3月25日、Synopsysは主力のインプリメント・ツール「IC Compiler」の新製品、「IC Compiler II」を発表した。
Synopsysの提供する「IC Compiler」は、フロアプランニングと配置配線を主体としたIC物理設計のインプリメント・ツールで、同社を業界トップに押し上げた原動力となる主力製品の一つ。現在ワールドワイドで約3分の2の市場シェアを持つとされている*「IC Compiler」の最初の製品リリースは2005年で9年振りに新製品のお目見えとなった。
*Synopsysのユーザー調査による予測
新製品「IC Compiler II」は、その処理能力が大きく高められており、今回の新製品発表におけるキーワードは「処理能力10倍」。その意味するところは、フロアプラン、配置配線ともに処理の高速化とメモリ使用量の削減が実現されており、総合的なインプリメントの処理能力として従来製品比10倍の処理能力があるというもの。これにより、より多くのフロアプランを検討できるなど品質面の向上も期待できる。
新製品「IC Compiler II」が既存の「IC Compiler」に対して大きく変わった点は2つ。まず、これまでベースとしていたデータベース「MilkyWay」に代わり「IC Compiler II」では新たなデータベース構造を採用。また、マルチ・スレッド処理の技術をスクラッチから再構築するなど、ツールのインフラ面が大きく進化・変更された。
更に配置配線処理を支えるタイマー、エクストラクター、デザイン・プランニング、最適化エンジン、クロック生成、配線後の最適化機能など、既存の「IC Compiler」でクリティカル・ポイントとなっていた各種処理・機能を改善した。これにより例えばデザイン・プランニングの容量が500Mセルにまで拡張され、「APS」と呼ばれる最適化エンジンにより複数パスのグローバルな解析が可能となった。
※画像は全てSynopsys提供のデータ
逆に既存の「IC Compiler」と「IC Compiler II」が同じ点は、配置および配線のコア機能で、「IC Compiler」で利用されているプレーサー「CGPL Placer」とラウター「Zroute」はそのまま「IC Compiler II」でも使われている。
尚、「IC Compiler II」の製品リリースは2014年中旬の予定で、「IC Compiler II」リリース後も「IC Compiler」は継続的に提供される。既に先行顧客数社が「IC Compiler II」を使用しており、テープアトウトに成功した実績もある。各社共にその処理能力の向上を確認済で、デザインのインプリメントが速くなるだけでなく消費電力の削減効果も出ているとの事。今回の「IC Compiler II」の発表に対して、Imagination Technologies, LSI, Panasonic, Renesas, Samsung, STMicroelectronicsがコメントを寄せている。