Mentorが高速高精度SPICEのBerkeley Design Automationを買収
2014年3月21日、Mentor Graphicsは、高速回路シミュレータ「Analog FastSPICE」を手掛けるBerkeley Design Automation社の買収を発表した。
Berkeley Design Automationは、2003年に社長兼CEOだったRavi Subramanian氏が設立したEDAベンダで、2006年に「PLL Noise Analyzer」をリリースし一定の顧客を確保。その後市場投入したSPICE精度の高速回路シミュレータ「Analog FastSPICE」が大ヒット製品となり同社の成長の大きな原動力となった。
同社にはパナソニックやNTTも出資しており、日本国内にも東芝、富士通、パナソニックなど大手を含む多数のユーザーが存在。Mentorの発表によるとワールドワイドで100社以上の顧客がいたという。2012年には、Deloitte社の北米成長企業ランキング「2012 Technology Fast 500」にランキングされたが、当時の実績としては2007年から2011年までの売上の成長率が302%だった。
Berkeley DAの「Analog FastSPICE」は、高精度で高速、しかも大容量と3拍子揃った製品でユーザーの評価も高く、ここ最近のTSMCの先端プロセスでは28nm以降の全てのプロセスで認定ツールとして承認されており、2013年にはTSMCの16nm FinFETプロセスを開発したパートナーとしてTSMCから表彰を受けている。
中小EDAベンダが次々に大手EDAベンダに買収される中で、勢いのある中堅EDAベンダとして存在感を示していたBerkeley DAだったが、今回の買収によりその資産はMentorへと移行。Mentorは、Berkeley DAの買収はアナログ/ミックスド・シグナル検証の強化につながるとしている。
ちなみに、MentorはBerkeley DAの「Analog FastSPICE」の競合にあたる製品「Eldo Premier」*を既に持っているが、ツールとしての実績は「Analog FastSPICE」の方がはるかに多いと推測され、今回の買収はその製品技術と合わせてTSMCなどを含む大きな顧客基盤の獲得を狙ったものと想像できる。
*「Eldo Premier」のエンジンはのBerkeley SPICEとは異なっている。