Cadenceが高位合成ツールのForteを買収へ
2014年2月5日、Cadenceは、SystemCからの高位合成ツールを手がける、Forte Design Systemsを買収することを発表した。
発表によると、今回の買収についてCadenceとForteの両社は正式契約を済ませ、30日以内に買収手続きを完了させる予定。その買収金額などの詳細については明らかにされていない。
Cadenceは、買収するForteの高位合成ツール「Cynthesizer」と同じSystemCを入力とした高位合成ツール「C-to-Silicon Compiler」を自社製品として提供しており、これまでForteとは競合の関係にあったが、今回の買収でForteの高位合成ツールを取り込み、システムレベル設計ソリューションを大きく強化する構え。
Forteは、2001年の時点で既に高位合成ツール「Cynthesizer」をリリースしていた業界の老舗で、ここ数年は北米を中心とした高位合成ニーズの増加の波に乗り業績は好調。日本国内でも多くのユーザーを抱えており、EDA専門の調査会社の調べでは業界トップシェアを誇るとされている。(※関連ニュース)
Cadenceが高位合成ツール「C-to-Silicon Compiler」を市場投入したのは2008年と比較的日が浅いが、自社論理合成ツール「RTL Compiler」に繋がるフローとその合成エンジンは、一定の顧客に受け入れられており、Forte,Calyptoに次ぐ第三の高位合成ツールとして存在感を示していた。高位合成の世界において最初に「ECO機能」を掲げたのは恐らく「C-to-Silicon Compiler」だ。
高位合成ツールの市場は、2000年初頭から大きな期待が集まり、数々のEDAベンダが立ち上がっては買収されるか消えていくというサバイバル市場で、日本が創成期の市場を牽引し、ここ数年でようやくワールド・ワイドで市場が立ち上がってきた状況。
EDA大手3社の状況を見ると、Synopsysは一度自社製品「Behavior Compiler」の失敗で高位合成市場から撤退した後、2010年に高位合成ツールベンダSynforaを買収し高位合成市場に再参入したが、以降、目立った成功は納めていない。Mentorは、育ててきた自社ツール「Catapult」の資産を2011年にCalypto Design Systemsに売却し、現在直接的には高位合成ツールを取り扱ってはいない。今回のCadenceによるForteの買収が完了すると、Cadenceは一気に高位合成ツールのトップ・ベンダとなり、システムレベルの合成ソリューションにおいて競合に大きく差をつけることになる。そして、その差は意外と大きいかもしれない。