VLAB Worksの仮想プラットフォームがルネサスの車載向けマイコン「RH850」をサポート
2013年9月14日、システムレベルのモデル・ベース・シミュレーション・ソリューションを提供する豪ASTC社の子会社VLAB Worksは、同社のバーチャル・プラットフォームがルネサス エレクトロニクス車載向けマイコン「RH850ファミリ」をサポートした事を発表した。
VLAB Worksのバーチャル・プラットフォーム「VLAB」は、組込みシステムのプロトタイピングとソフトウェア開発にフォーカスしたSystemC TLMモデル対応のシミュレーション環境で、同分野では後発ながら自動車分野を中心にビジネスを伸ばしている。公にアナウンスしているところでは、Freescaleやルネサスエレクトロニクスが「VLAB」を導入しているほか、国内の自動車OEM、サプライヤなども車載ECU開発向けに複数導入していると聞く。
発表によると今回VLAB Worksはルネサスエレクトロニクスとの協業により、車載向けマイコン「RH850ファミリ」のCPUおよび周辺モデルを開発。カスタム可能な形でユーザーへの提供を開始した。車載向けマイコンとしてトップ・シェアを誇るルネサス「RH850ファミリ」のバーチャル・プラットフォーム用モデルを提供するのは競合のSynopsysとVLAB Worksの2社のみで、今回発表した「VLAB」用のモデルは既に一部のOEM、サプライヤ、ソフト開発会社に提供されているという。
バーチャル・プラットフォームの普及がなかなか進まない車載分野において、VLAB Worksのソリューションが成功しているのには訳がある。一つはそのツールセットの価格。同社のツールはバーチャル・プラットフォーム開発環境、シミュレータ、シミュレーション結果の解析ツール、各種モデルと大きく4つのコンポーネントで構成されているが、その導入スタート価格が競合製品よりも大幅に安い。構成によっては年間ライセンスを競合よりも1ケタ近い安いコストで利用できるほか、各種モデルについてはパッケージ化して提供する形をとっており、個々のモデルに課金するようなビジネスはしていない。また、CPUモデルおよびペリフェラル・モデルをユーザー側で作成するための2種類の専用環境を提供しているのも同社ソリューションの特徴の一つで。これにより、バーチャル・プラットフォームの導入課題の一つとして挙げられる「モデル供給の問題」をうまく緩和している。