Mirabilis、ESLシミュレータ「VisualSim」にEthernet AVBライブラリを追加、リコーが採用
2013年9月5日、システムレベルの性能解析ツールを手掛ける、米Mirabilis Design社は、同社のESLシミュレータ「VisualSim」にEthernet AVBライブラリを追加した事を発表した。
Ethernet AVBはIEEEの定めるEthernetを用いたAVネットワークの規格で、正式名称は「IEEE 802.1 Audio/Video Bridging」。ここ数年、自動車業界において車載ネットワークとしてEthernet AVBを採用する動きが出てきており注目を集めている。
MirabilisのESLシミュレータ「VisualSim」は、モデル・ベースのシミュレーション環境で、400種以上ある豊富なライブラリ・ブロックをGUI上で組み合わせることで仮想システムを構築し、システムレベルのアーキテクチャおよびパフォーマンス解析を実行可能。ライブラリの他に各種アプリケーション向けのテンプレートも100種位上用意されており、容易に仮想環境を構築できる。
製品の分類としては、Synopsysの「Virtualizer」、Imperasの「OVP」、VLAB Works「VLAB」など、バーチャル・プロトタイピング・ツールの更に上位に位置する製品で、実CPUを模擬したモデルは使用せずソフトの実行は不可。トラフィック・ジェネレーターで実動作を模擬する手法をとり、各種パラメーターの変更によりシステム動作を再現する。
今回、「Visual Sim」に追加されたEthernet AVBライブラリには、 IEEE 802.1AS, IEEE 802.1Qat, IEEE 802.1Qav, IEEE 802.1BA の各規格が実装されており、同ライブラリを用いて仮想システムを構築することでEthernet AVBの動作を模擬できる。
尚、同発表に対してリコーがユーザーとしてコメントを寄せており、それによるとリコーは次世代ネットワーク処理システムの開発で「Visual Sim」とEthernet AVBライブラリを採用したとの事。SystemCやVerilogのハードウェアモデル、そしてソフトウェアを開発する前に「Visual Sim」で仮想システムを構築し、パフォーマンス/信頼性向上、消費電力削減のためのフィジビリティ・テストを実施したという。
ちなみにコメントしているのは、リコーのワーク・ソリューション開発本部、第六開発室室長の木村貞弘氏。同部署の登坂氏が今週27日開催の「Verify2013」にて、「Visual Sim」ならびにEthernet AVBライブラリ採用の詳細について事例を発表する予定となっている。