【DAC50】ForteのHLS「Cynthesizer」は大規模改版で大幅機能強化、LGも採用
6月2日-6日テキサス州オースティンで開催された第50回Design Automation Conferenceの展示会レポート。
Forteのブースでは、5月にバージョンアップを発表した高位合成ツール「Cynthesizer」を大々的にアピールしていた。Forteは、新たな合成エンジン「C5」を搭載する最新の製品を「Cynthsizer 5」という名称で呼んでおり、同製品にかける意気込みを感じる。
Forteの説明によると、最新の「Cynthsizer 5」では、高位合成の主要機能であるスケジューリングとアロケーションが改良され、より品質の高い回路合成が可能に。既存の合成エンジンよりも回路面積を削減出来るようになった。
また、ローパワー化の合成機能も大きく強化され、例えばRTLレベルではなく、入力するSystemCのレベルでクロック・ゲーティングの可能性を探るようなローパワー化機能や、ローパワーを意識したFSMの最適化機能やメモリアクセスの最適化機能も実装されたという。
更にSystemCのモデリングおよび解析環境として提供される「Cynthesizer Workbench」も改版され、SystemC IDEとしてSystemCのデバッグ環境が用意された。同IDEを利用するとGUI上でSystemCコードと合成したRTLのクロス・プロービングも可能だという。また、「Cynthesizer Workbench」には、デザイン・サンプルやオンライン・ドキュメント等も豊富に用意されており、HLSの新規ユーザーに対する教育環境としても利用できると聞いた。ちなみにこの「Cynthesizer Workbench」は単体製品として、「Cynthsizer 5」とは別にバラ売りも行なっているとの事。
尚、DAC50を通じて「Cynthsizer 5」の活用事例を耳にする機会が何度かあった。一つは、Qualcommの設計者がデザイナー・トラックで発表していた、高位合成をベースとしたIPサブシシステムのHW-SW協調設計の事例、もう一つは日本のNTTのチームがユーザー・トラックで発表していた、高位合成を用いたビデオ・コーデックLSIの設計事例。いずれの事例においても、既存の設計フローにおいて高位合成を利用し設計生産性の向上を図っているという話だった。