Synopsysがルネサス製マイコンRH850向けの仮想プロトタイプ開発キットをリリース
2013年5月24日、Synopsysは、ルネサス製マイコンRH850向けの仮想プロトタイプ開発キット「VDK」のリリースを発表した。
Synopsysの「VDK(Virtualizer Development Kits)」は、特定マイコン向けに用意されるソフトウェア開発キットで、同社のバーチャル・プロトタイピング・ツール「Virtualizer」で使用するソフトウェア開発用の仮想プロトタイプ環境をあらかじめキットとしてパッケージしたもの。既にARMv7/v8 プロセッサ向けの「VDK」がリリースされているほか、先日Freescale社の車載マイコン「Qorivva」ファミリ向けにも提供が開始された。(※関連ニュース)
今回Synopsysがリリースしたのは、ルネサス製の車載マイコン「RH850」向けの「VDK」でSynopsysとルネサスの協業により開発されたもの。昨年時点でその開発計画はアナウンスされていた。(※関連ニュース)
Synopsysによると「RH850」向けの「VDK」は、最初のバージョンとしてRH850ファミリのF1xマイコン向けの仮想プロトタイプ環境がパッケージされており、RH850 F1xのシングル/マルチコア構成、タイマー、メモリー、LIN/CAN/Ethernetなどの通信ブロック、アナログ・モジュール、エラー制御モジュールなどのモデルがリファレンスの仮想プロトタイプ環境に搭載されている。同仮想環境は、バーチャル・プロトタイピング・ツール「Virtualizer」を用いて他のRH850マイコン向けにモディファイすることも可能で、Freescale「Qorivva」向けの「VDK」と同じく、アナログ-デジタル混在シミュレーター「Saber」、Mathworksの「Simulink」、Vectorのネットワーク・シミュレータ「CANoe」といったサードパーティー・ツールと連係できるという。
自動車に搭載される電子制御ユニット(ECU)の開発では、マイコンの選定やソフトウェアの仕様検証/実装検証、実機では不可能な故障注入シミュレーションといった様々な用途でバーチャル・プロトタイピング・ツールが使用されつつあり、大手国内自動車メーカーがECUで数多く採用しているルネサス製マイコン向けの仮想プロトタイプ環境は、開発現場でのニーズが高い。今回の「RH850」向けの「VDK」のリリースは、ルネサスとSynopsysが協力して国内自動車メーカーのニーズに応えた格好だ。