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SpringSoftが第三世代のカスタムIC設計環境「Laker3」と新たなアナログ・プロトタイピング・ツールを発表

2012年4月17日、カスタムIC設計環境ならびにハードウェア検証・デバッグソリューションを手掛けるSpringSoftは、第三世代のカスタムIC設計環境「Laker3」と新製品「Laker Analog Prototyping」のリリースを発表した。

プレスリリース文

今回発表された「Laker3」は、OpenAccessデータベースをサポートした第二世代の「Laker」の後継製品で(第一世代は初代Laker)、OpenAccessベースの統合環境としてツールのインフラ自体が強化され、パフォマーンスの向上や先端プロセスへの対応、新たなアナログ設計技術の搭載など、大掛かりなエンハンスが一気に実施された。SpringSoftは今年3月に次世代版のデバッグ環境として「Verdi3」を発表しているが、同様にネーミングされた今回の「Laker3」は、次世代版のカスタムIC設計環境として大きな進化を遂げている。

具体的に進化した点は大きく3つ。まずツールのインフラの刷新により統合環境としての完成度が高められ、パフォーマンスおよびユーザビリティ、そしてOpenAccessベース・ツールとのインターオペラビリティの向上が実現された。パフォーマンス面では描画性能がSi2のリファレンス・ツールと比較して2-10倍にまで高速化されたほか、書き込み速度も最大6倍の高速化が実現された。「Laker」は元々「サクサク動く」その速さに定評があるツールと言えるが、今回のエンハンスでその特徴が更に強化された格好となる。また、GUIも「Verdi3」と同じくQTベースに刷新され、ウインドウ操作などよりカスタム性と操作性が高められた。

Laker_CustomLayout.jpg
※画像はSpringSoft提供のデータ。Laker3のGUI画面。

更に各Lakerファミリ製品に内蔵されるDRCエンジンも新たなものに取って代わられ、ダブル・パターニングなど20nmデザイン・ルールにも対応可能となった。SpringSoftはサインオフ用のDRCはMentorの「Calibre」との連携という形を取りつつ、先端プロセスへの対応に向けて自前のDRCエンジンの機能強化も着々と進めている形だ。また、今回の「Laker3」からOpenAccessベースのパラメトリック・セル「PyCell」も取り扱えるようになった。

そして最もインパクトのある進化と言えるのが、新ツール「Laker Analog Prototyping」の登場で、新たに「Laker3」統合環境上でアナログ設計の「半自動処理」が可能となった。「Laker Analog Prototyping」は、「Laker」の最上位製品パッケージ「L4」に含まれるツールで、設計した回路(ネットリスト)からレイアウト制約を抽出し、それを元に複数の配置パターンを自動生成してくれる。設計者は自動生成されたレイアウト候補から最適なものを選び、それをチューニングする事で所望のレイアウトを実現する形となる。

「Laker Analog Prototyping」の提供する「アナログ・プロトタイピング」というアプローチはこれまで無かったもので、制約の自動生成と高速な配置パターン生成を実現できるからこそ成せる技。アナログ配置配線を完全に自動化するものではないが、レイアウトとレイアウト制約のイタレーションを効率化するソリューションという意味で「アナログ・プロトタイピング」と命名されている。同機能は他のLakerファミリ製品と同じバイナリを共有して実行できるため、「Laker」統合環境上で最も力を発揮するが、基本的にOAベースのツール上であれば動作可能なため、同機能だけを利用して他社のツール上で「アナログ・プロトタイピング」を実施するというユース・ケースも有り得る。実際に今回の発表にコメントを寄せているSTARCは、同社のOpenAccessベースのSTARCAD-AMS環境上で「Laker Analog Prototyping」を評価しており、「STARC-AMSデザインフローに統合できると考えている。」と語っている。 

AnalogProto_flow.jpg
※画像はSpringSoft提供のデータ。アナログ・プロトタイピングのフロー。

尚、SpringSoftのLakerプロダクト・マーケティング、シニア・テクニカル・マネージャーのLucas Chen氏によると、ファブレス上位5社のうち2社がヘビー・ユーザーで「Laker」を社内標準ツールとして利用しており、半導体上位10社のうち5社がユーザーであるという話で、一昔前の印象では「Laker」は日本市場ではマイナーな存在と思えていたが、ワールドワイドで実績を伸ばしているようだ。市場としては北米および本拠地台湾が強いのは言うまでもないが、アジアの中では日本のシェアが高く、次いで韓国、中国、インドという順番だという事で、今回発表された「Laker Analog Prototyping」を含む「Laker3」は既に日本国内の顧客が導入済みとの話。既存製品の実績としては、大手IDMでも導入されているほか、デザイン・ハウスでの利用が非常に多いと聞いた。

Laker-02.jpg
※画像はSpringSoft社のWeb掲載画像。Lakerファミリ製品。

スプリングソフト株式会社

= EDA EXPRESS 菰田 浩 =

(2012/04/18 )

 

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