Mentorが生産性を4倍に引き上げた新型エミュレーター「Veloce2」をリリース
2012年4月25日、Mentor Graphicsは、同社のエミュレーター「Veloce」の2代目製品「Veloce2」のリリースを発表した。
Mentorによると新しい「Veloce2」は、新たに開発された65nmプロセスで製造されるLUTベースの独自チップ「Crystal2」を搭載しており、パフォーマンス、デザイン容量ともに初代Veloceの倍に引き上げられた。「Crystal2」は最大256個搭載可能(正確には16個搭載したボードを16枚搭載可能)で、そのデザイン・キャパシティは最大20億ゲート。ボード1枚につき1名が利用可能で最大構成で16名が同時に利用することが出来る。エミュレーション速度は最高で3MHzと45nmチップを用いる競合製品よりも速く、消費電力についても競合製品の1/4に抑えられているということで、生産性を4倍に向上しながら、競合を下回る所有コストを実現している。
※画像はMentor提供のデータ
またMentorは、今回「Veloce2」のリリースと合わせて新しいソフトウェア機能「Veloce VirtuaLab」を用意。「Veloce VirtuaLab」は、DellまたはHPのLinuxワークステーション上で稼働するソフトウェア・ベースのペリフェラル・モデルで、「Veloce2」を用いたSoC検証環境を迅速に構築するためのオプション製品。Mentorは「Veloce」向けに「iSolve」と呼ぶハードウェアおよびソフトウェアのICEを提供しているが、「Veloce VirtuaLab」はこの「ソフトICE」に相当するもので、USB3.0やEthernetなど数種類の標準規格モデルを用意している。同モデルを利用することでペリフェラルの構成を柔軟に再構成可能なほか、起動したRTOSの状態をセーブ/リストア出来るなど、ハードウェアのICEでは実現できない恩恵を享受可能。また「Veloce VirtuaLab」の各モデルには、パケット・ジェネレーターや解析機能などモデルに応じたツールが付属され、これらを利用することでハード/ソフト、ペリフェラルのインタフェースを高精度かつ効率的に検証することが出来る。
※画像はMentor提供のデータ
尚、この「Veloce VirtuaLab」は、初代「Veloce」でも利用できるほか、「iSolve」のハードウェアICEと組み合わせて利用する事も可能。また、ライセンス数に応じて複数ユーザーで利用することも可能となっている。「Veloce2」を複数ユーザーで使用する際には複数のジョブをパッチ実行で流し実行ログを取り、「Questa Codelink」という別ツールを利用しオフラインでデバッグするという手法が効率的であるという。
※画像はMentor提供のデータ
Mentor Graphicsのエミュレーション事業部、プロダクト・マーケティング・マネージャーのGabriele Pulini氏によると、「Veloce2」は先行顧客向けに半年前にリリースしており、既に初代「Veloce」の総売上を超える販売実績を叩き出しているという話。エミュレーション市場における「Veloce」シェアは2010年時点で36%に達していたという事で、それに「Veloce2」の実績を加えると現時点で相当なシェアを握っていると思われる。ちなみに「Veloce2」の価格はその台数、構成により異なるが、一つの目安としては「1ゲート当たり1円」との事だった。