日本システムウェア、クラウドベースのARMベースSoC設計環境の提供を開始※追記アリ
2011年11月30日、組込みシステムならびにIC設計サービスを手掛ける日本システムウェア(以下、NSW)は、ARMベースSoC設計環境をクラウド形態で提供するサービス「EDA Cloud Solution」の提供開始を発表した。
発表によるとNSWの「EDA Cloud Solution」は、同社の展開しているIaaS型クラウドサービス「BlueSpider」上で提供されるもので、ARMベースSoCの設計用モデル(DSM)と設計ツールを開発時間に応じて顧客に提供する。
NSWの資料によると、クラウド環境を通じて提供されるのは、ARMコアのデバイス設計用モデル、ARMペリフェラルのデバイス設計用モデル、SystemCベースの高位合成ツール、SystemC,Verilog,VHDL,SystemVerilog混載シミュレーションが可能な論理シミュレーター、フォーマル チェッカー、クラウド上で利用できる開発用の仮想マシン(OSインストール済み、CPU 3GHz相当、メモリ2GB、HDD50GB)などで、別契約となるサービスを利用すれば、ARMベースSoCのシステム設計やハードウェアの実装(RTL設計、ボード設計など)をNSWに依頼する事もできる。
「EDA Cloud Solution」は、ARMベースSoCを開発するにあたっての開発初期段階でのシステム構成評価にフォーカスしたソリューションのようで、ARMのモデルが提供される以上、何かしらのシミュレーション環境も合わせて提供されるものと思われる。
追記:
NSWに確認したところ、提供されるARMのDSMモデルとは、DSM=Design Simulation Modelという意味で、クロックサイクルベースでRTLシミュレーションで使用するモデルとなる。ARM社の提供するFastModels相当のモデルをイメージしていたが、そうではないようだ。将来的には、ESLツールを用いたより抽象度の高いSystemC対応のシミュレーション・プラットフォームの提供も検討されているようだが、現状はRTLベースでのシミュレーション・ソリューションとなる。サイクルベースのARMモデルをシミュレーションできる点、更には高位合成ツールを導入することなく、スポット的に手軽に高位合成ツールを利用できる点などが今回発表された「EDA Cloud Solution」のメリットと言えよう。
尚、今回発表されたクラウドベース・ソリューションとは別に、NSWは昨年7月に(その後Intelに買収された)旧CoFluent Design社のESLツール「CoFluent Studio」を用いたクラウドベースのサービスを発表しているが、同サービスは現在も継続して提供されているという事だ。