次世代FPGAの米Tabula創設者Steve Teig氏が2011 World Technology Awardを受賞
2011年11月1日、動的再構成技術を用いたFPGA「3PLD」を手掛ける米Tabula社は、同社の創設者で社長兼CTOのSteve Teig氏が2011 World Technology Awardを受賞した事を発表した。
World Technology Awardは、会員制コミュニティWorld Technology Networkが主宰する「科学とテクノロジーのオスカー」とも称される権威ある賞で、これまで、アル・ゴア(Al Gore、元米国副大統領)、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg、フェイスブック(Facebook)創設者)、ラリー・ペイジ(Larry Page、Google創設者)、ティム・バーナーズ・リー(Tim Berners- Lee、インターネットWWWの発明者)などそうそうたる顔ぶれが受賞者として名を連ねている。
今回がTabulaのSteve Teig氏が受賞したのは、20ある部門の一つ「ITハードウェア・イノベイション・アワード」で、同氏が発明した「pacetime 3Dプログラマブル・ロジック・アーキテクチャ」の先見性が認められ、その功績が讃えられた。
Steve Teig氏はプリンストン大学の出身で1980年代からEDA業界に従事。Trilogy Systems社時代に現在では普遍的技術となっているCompiled-code Loogic Simulationを発明し、その後、Tangent Systems社(後にCadenceが買収)を創設して配置配線アルゴリズムの基本技術を発明。一時バイオ・テクノロジー業界に身を置いていたが、再びEDAの世界に戻りSimplex Solutionsで有名な斜め配線技術「X Architecture」を発明した。SimplexがCadenceに買収された事でSteve Teig氏はその後CadenceのCTOを務めるに至ったが、2003年に現在のTabulaを設立した。Steve Teig氏のこれまでの発明実績はその特許件数が物語っており、現在240件を超える特許権を保有。2002年には、個人による単年での特許出願取得件数でトーマス・エジソンの記録を抜いている。
Tabula社の提供する次世代FPGAは、動的再構成技術を用いたFPGAで同社はこれを「3PLD」と呼んでいる。Tabula社は既に「3PLD」の製品化に成功し「ABAX」という製品を出荷しており、今年日本オフィスを開設、ルネサスイーストンと総代理店契約を締結している。
「ABAX」は、動的再構成技術によってFPGAの動作中に回路を書き換える事が可能で、物理的な回路規模以上の回路を実現可能。これにより、小サイズ、低コストでも大手ハイエンドFPGA並の回路集積度を実現できるという。また、「ABAX」の開発環境はTabula社がクラウドベースの自前の開発環境を用意しており、同環境を利用すれば設計者は特に動的再構成技術を意識する事無く、従来フローでFPGAの設計が可能だという。