SynopsysがCadenceとMentorのユーザーに向けた検証環境移行プログラムを発表
2011年2月3日、Synopsysは、他社製のシミュレーターから自社のシミュレーター「VCS」への移行をサポートする「Verification FastForward migration program」を発表した。
発表によると、「Verification FastForward migration program」は、Cadenceの「Incisive」、Mentorの「Questa」を利用するユーザーをターゲットに、Synopsysのシミュレーター「VCS」への移行を手助けするもので、ユーザーはこのプログラムを通じて、OVMからUVMへのテストベンチの移行や、スクリプト、検証IP、リグレッション環境の移行など、VCSを使ってUVMを活用するためのテクニカル・サービス、トレーニング、検証サポートを受ける事が出来る。
※UVM:Universal Verification Methodology
Synopsysによると同プログラムのパイロット・プロジェクトは2009年から開始されており、既に複数のユーザーが「VCS」への移行を完了しているとの事。今回、「Verification FastForward migration program」が正式なプログラムとして発表されたのは、Synopsysの「VCS」が間もなくリリースされる検証メソドロジ「UVM 1.0」を正式にサポートしたからである。
検証メソドロジ「UVM」は、EDA標準化団体米Accelleraが策定する第三の検証メソドロジで、CadenceおよびMentorの開発した「OVM」をベースにSynopsysの開発した「VMM」の良さも生かされているようだ。
「VMM」と「OVM」異なる2つの検証メソドロジの存在は、検証の効率化を実現する一方でこれまで「どちらを選択すれば良いのか?」という悩みをユーザーに与えていた。しかし、両メソドロジの統合規格と言えるAccellera「UVM」の登場およびSynopsysの「UVM」サポートによって、今後ユーザーは安心して「UVM」を採用できるようになるだろう。
今回Synopsysが発表した「Verification FastForward migration program」は、今後本格化する「UVM」ベース検証ソリューションの「ガチンコ勝負」の最初の一手と言える。