2010年8月16日、FPGAプロトタイピング向けの検証ソリューションを手掛ける新興EDAベンダInPA Systems社がEDA市場への参入を表明した。
InPA Systemsは2007年11月設立のベンチャーで本拠地はサンノゼ。中国、台湾にも販売網がある。社長兼CEOのMichael Chang氏は、これまでにもVerplex SystemsやChecklogic SystemsなどのEDAスタートアップを立ち上げた経験を持つ業界のベテラン。CTOのTom Huang氏は、論理エミュレーションに関する専門家で、AptixやOsprey Design Systemsなど計6社のEDAスタートアップの設立に関わった経験を持つ。
また、同社はベンチャー・キャピタルからの資金提供を受けず自己資金で立ち上げたプライベート・カンパニーで、Bernie Aronson氏(元Kilopass、SynplicityのCEO)、Michel Courtoy(元CertessのCEO)、河内一往(元富士通USA社長、現D2S社長)といった、業界での経験豊富な外部アドバイザーを集めている。
InPA Systemsのソリューションは、FPGA Prototypingのデバッグを改善するもので、「Active Debug」と呼ぶ可視化技術をベースにFPGAを用いた検証をコントロールし、全信号を対象にバグ解析を効率化。複数のFPGAに分割された大規模デザインの効率的なデバッグを実現する。
技術的な詳細は明らかにされていないが、InPA SystemsのFPGAデバッグソリューションは、市販のシミュレーターとFPGA Prototypingボードを繋いで構築するもので、EVPI(Embedded Vector Processor Interface)と呼ぶ独自のインタフェース回路とEMMs(Embedded Micro Machines)と呼ぶ信号観測用の回路をFPGAに埋め込み、VPM/VCPと呼ぶ独自のハードウェアを介する事で検証対象の可視化とFPGAとシミュレーターのコミュニケーションを実現する。
※下の図はInPA Systems社のWeb上のデータ。
デザインにデバッグ回路を埋め込むというアプローチは以前からあるが、FPGA Prototypingをターゲットに市販のFPGAボードとシミュレーターで容易に構築できる同社のソリューションは、敷居が低くユーザーも受け入れ易いと思われる。尚、製品は現在開発中であり、今年のQ4にはリリースの予定。日本市場でも早々に製品が展開される様子である。
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