LSI設計のエンジニアリング支援ツールを手掛ける日本のベンチャー、マイクロアークは、設計データの配置配線リスクを診断するクラウドサービス「ChipNavi(チップナビ:http://chipnavi.com/)」の試験運用を開始した。
マイクロアークによると「ChipNavi」は、ネットリストと最小限のライブラリ(LEF、Liberty)を基にインプリメントにおけるリスク要因を診断するもので、具体的には、クラウド環境上に用意された簡易フィジカルプロトタイピングツールを用いて、ユーザー自ら作成した評価データから配置配線イメージを作成。その結果からタイミング制約、配線難易度、テストカバレッジなど、フィジカル・インプリメントに関するリスクファクターを評価し、診断表として各評価項目についての診断コメント(問題点や次に取るべき対応策など)レポートする。
クラウド環境の利用にあたっては、Googleアプリケーションと同じセキュリティ、プライバシー、データ保護ポリシーが適用されており、利用者はGoogleアカウントを用いてサービスを利用可能。当然ながら、利用者のネットリストやライブラリなどの情報がクラウド環境に直接アップロードされる事は無い。
「ChipNavi」のユニークなところは、Webベースのクラウド環境を利用している事もさることながら、ネットリスト、LEF、Libertyのみで短時間で配置配線イメージを入手し、チップ面積を算出できる点で、サービスの利用にあたりフィジカル・インプリメンテーションに関する細かい知識は一切不要。接続関係の矛盾やモジュールの不存在が生じている未完成のネットリストであっても評価できる。
マイクロアークのビジネスモデルは、「ChipNavi」による診断サービスを無償提供する事で物理設計における設計現場の早期リスク認識に貢献し、認識したリスク・課題の解消に向けて、より詳細なデザイン検討が可能なデスクトップ型のツール「MaEPL」を有償提供するという形をとる。
ちなみにマイクロアークでは、「MaEPL」に関しても一部機能制限付の無償版をWeb上で配布しており、全機能が利用可能なライセンス版は30日間限定で無償評価できる。
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