第46回DAC(Design Automation Conference)におけるOVMブース・セミナーの話。
OVM(Open Verification Methodology)の普及促進コミュニティ「OVM World」のブースでは、OVMユーザーによる様々なOVM活用事例がセミナー形式で紹介されていた。
中でも面白かったのは、富士通研究所 高山浩一郎氏の講演。
(※同講演は、今年9月に開催されたEDA Tech Forumでも披露されたようで、その詳細はブログ「Verification Engineerの戯言」にも記事が掲載されている。)
高山氏によると富士通研究所のチームは、高性能並列コンピューティングシステムで用いられるインターコネクトLSIの検証に、富士通が開発した「Cedar」と呼ばれるUMLベースの仕様レベルの検証手法とOVMを組み合わせて適用。シミュレーション前にX-bar unitで9個、Transaction Layer unitで12個、計21個の仕様上のバグを検出することに成功し、同手法が検証品質の向上に有効であり、将来的には検証工数も削減できる事を示した。
彼らが次世代の検証メソドロジと位置付けている「Cedar+OVM」の検証手法とは、「Cedar」フロー上でのマニュアル作業をOVMで補うもので、具体的には、UMLを用いた仕様解析の結果(シナリオやパラメータ)をテストケースへ落とし込むマニュアル作業を無くしOVMのテストケースへ流用。テストベンチのリファレンスモデルの作成についても、OVMを利用する事でゼロからのマニュアル作業を無くし再利用性を高める。
高山氏曰く、何を検証するか?=Whatの部分は「Cedar」のUMLベースの手法で対処し、どうやって検証するか?=Howの部分はOVMで対処するという考え方で、この両手法を組み合わせる事で検証の品質を向上。同社では2007年6月にメンターの検証メソドロジAVMを採用しその後オープンかつフリーなOVMへと移行。現在は、メンターのシミュレータ「Questa」を用いたOVMベースの検証環境を構築している。
尚、元々「Cedar」はUMLとSystemCを組み合わせた手法であるが、高山氏は、OVMを用いた方が検証のイタレーションが「断然にラク」で「検証エンジニアのモチベーションアップに繋がる」とコメントしており、同検証手法にはハードの動作記述とオブジェクト指向の両方のスキルが必要としつつ、オブジェクト指向については、クラスの継承と仮想メソッド/多態性の2つの基本だけおさえておけば「OVMを使える」と語っていた。
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