Electronics Design and Solution Fair 2009に出展していたコーウェアのブースレポート。
コーウェアは、自社のESLソリューションを一斉展示。展示の目玉は幾つかあったが、世間的にもホットな話題は、「CoWare Signal Processing Designer」による次世代通信規格「LTE(Long Term Evolution)」ライブラリのサポート。
「LTE」は2010年にも運用が開始される3.9G携帯電話の新たな通信規格で、W-CDMAの延長線上の技術で下り100Mbps、上り50Mbpsという高速通信を実現する。
「CoWare Signal Processing Designer」は、コーウェアがケイデンスから買収した複雑かつ大規模なデジタル信号処理アルゴリズムの開発環境で、4000種類以上用意されているモデルと無線通信やマルチメディア向けの各種リファレンス・ライブラリを用いて、効率よく短期間でアルゴリズム・モデルを開発できる。
コーウェア株式会社取締役技術本部長の川原氏によると、既に「SPD」を用いて「LTE」の開発に着手している顧客が複数存在しており、LTEフィジカルレイヤのアルゴリズム開発において、SPDのリファレンス・ライブラリがゴールデンモデルとして利用されているという。
フラッグシップ製品の「CoWare Platform Architect」については、用意しているSystemCモデリングライブラリ「SCML」に加えて、OSCI SystemC TLM2.0に対応。これによりModel Wizardが生成するテンプレートを用いて容易にSystemC TLMモデルがモデリング可能に。「CoWare Platform Architect」には「Quickリファレンス」という機能が埋め込まれており、GUI上から各種SystemCのサンプルモデルを呼び出し、簡単にSystemCベースのプラットフォームを作成できる。
また、ブースで目にしたデモでは、旧来からの機能「Bus Wizerd」の使い方を実演。同機能は、仮想プラットフォームをモデリングするにあたり登録されている任意のバスモデルを選択しGUI上結線するだけで、バスアーキテクチャを自動生成してくれるという優れもの。川原氏曰く、この機能があれば、複雑なバスアーキテクチャに関する専門知識がなくても、仮想プラットフォームを構築できるとの事だった。
それからコーウェアの展示としては珍しくボードが置かれていたので、何物なのか訊ねたところ、カスタムプロセッサの開発環境「CoWare Processor Designer」にて新たにJTAG用回路の自動生成機能がサポートされたとの事。これにより実機によるデバッグが容易となり、マシン上のシミュレーションと実機ボードデバッグの双方に対応した統合的なデバッグ環境を提供できるという。
その他直近のアップデートとしては、ソフトウェア開発者向けの仮想環境「CoWare Virtual Platform」にて、ソフトウェア解析機能をサポート。この12月にリリースされたばかりという同機能は、ソフトウェアのタスクの動きを解析して負荷の高い関数を表示するためソフトウェアの最適化に活用可能。解析画面とソースコードデバッグ画面とのクロスプロービングにより、関数単位でソフトウェアをデバッグできるというこれまた優れものの機能であった。
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